受験計画はすべての出発点

目的地に一直線に進む人と、そうでない人

受験計画を立てずに、いきなり参考書を買ってきて読んだり、適当に問題集を解くことは、羅針盤や航海地図を持たずに海に出るようなものです。そんな無謀なことはありません。

目標と計画がない受験勉強では、試験の合格はおぼつきません。ダイエットでもスポーツでも、かならず最初に、目指すべき的を決めるものです。

最終地点を見定めてこそ、「目標地点まで、最短距離で、いかにして効率よく到着するか」という考えが出てきます。最終目標が決まらなければ、そのような発想自体でてきません。

もちろん、楽しむためのスポーツだったり、自己啓発や生涯学習の一環として勉強する場合など、とくに目標を定めないで気軽に取り組むこともあります。しかし、その場合でも、よく考えてみれば「楽しむこと」や「体力をつける」ためだったり、「仲間と触れ合う」ためだったり、「学ぶこと」自体が目標となっているはずです。

人は目標を定めないと、パワーが出てこない動物。
まずは最終目標を明確にしてこそ、そこまでの最短の道筋や進み方、スピードなどを順次、決定していくことができるのです。

受験計画を細かく立てることは勉強方法の出発点ですが、その前に最終目標、つまり東大・早大・慶大といった第一志望校を決めたり、希望の資格試験を決定することこそが、すべての発想の出発点になります。

受験計画の立て方のポイントと注意点は?

さて早慶上智を受けるとか、弁護士や司法書士、看護師になるといった最終目標が決定しました。
その次は、”いかにしてそれを達成するか”を考えていきます。そのための、もっとも効率的な作戦を練るのです。自分の頭の中だけの作戦会議です。受験計画を立てるさいのポイントは、以下のようになります。

  • 目標達成に適した内容にする
  • 概要をまず決め、徐々に絞っていく
  • 最後に、毎日のノルマを決定する

学習計画を立てるさいに、もっとも注意すべきことがあります。それは「詰め込みすぎない」ということ。
目標を決めると、どうしても気持ちが大きくなって、「自分ができること以上のこと」を計画に盛り込みがちです。しかし、たいていは実行できずに挫折するものです。なぜでしょうか?

人は、計画や指示を忠実に実行する「コンピューターや機械」ではないからです。感情をもった動物です。
その点を考慮せずに、欲張ってしまい、ただ詰め込んでも失敗してしまう可能性が高いということです。

この危険を回避するには、余裕をもって受験計画を立てることに尽きます。食事でも「腹八分目」といいます。中学受験や高校受験、大学センター試験を突破するための計画も、欲張らずに、「腹八分目」の感覚で取り組んでみてはいかがでしょうか。満腹になると消化不良になりますし、内臓脂肪がたまって生活習慣病の原因になります。

少し余裕をもたせて受験計画を立てることによって、ようやく「実際に自分がこなせる量」になるものです。
勉強を続けていると予想外のことに遭遇したりします。面白そうなテレビ番組があったり、誰かが訪問してきたり、家族が病気になったり、自分が風邪をひいたり・・・。そういったときに、分単位でノルマを設定していると、身動きが取れなくなります。いったん計画が破たんすると、堤防が決壊したようになり、そのあと自暴自棄になって、勉強へのやる気が失せてしまう危険があります。

また最初に目標を決めた時点では気持ちが大きくなっているので、ノルマを詰め込みがちですが、人間、そんなにいつまでもモチベーションを維持できないところがあります。ですからモチベーションが落ちたときのことも考慮して、余裕をもたせた受験計画を立てていくことが大切になってくるのです。

目標達成に適した内容にする

さて効率のよい受験計画の立て方ですが、当然、最終目標から外れないものであることが大前提です。
たとえば、陸上の大会で上位入賞しようと目標を立てた人の場合を考えてみます。そのための練習計画は、「走る」ということに特化したものでなければなりません。

バーベルを上げるウェイトトレーニングばかりだったり、水泳をしてスタミナ養成をしてばかりで、まったく走るトレーニングをしないとしたら、目標からズレていることになります。これは分かりやすくするための極端な例ですが、受験における勉強方法では起こりがちな点です。注意しなければなりません。

このような決定的なミスを犯さないためには、目標を立てたあとに、できるだけ早い時点で合格体験記を読んだり、すでに試験に合格した先輩の話を聴くことが有効です。そのまま自分に当てはまるとは限りませんが、参考にはなるはずです。また、そうしたプラスイメージは、その後のモチベーションの維持に役立つものです。

さて、中学生でも高校生でも、第一志望校を決めたら、その試験に出る科目を中心に勉強することが大事です。出題されない教科は当然、勉強しなくていいわけです。
また難関校や、難関の資格試験であるほど、勉強時間を増やす必要があります。それほど偏差値の高くない高校や大学なら、そんなに根を詰めて学習する必要はないということです。

そのほか、高校や大学独自の出題傾向というものがあります。
ですから赤本などの過去問(過去の問題集)を使って、第一志望校の「傾向と対策」を把握するように努める必要があります。日々の勉強内容は、それに沿ったものでなければなりません。先ほどの例でいえば、陸上で好成績を収めたいなら、水中ではなく「陸上を走ること」を中心にトレーニングすべき、ということですね。

過去の問題にすべてのヒントがあるのですから、過去問の研究を日々のノルマに組み入れる必要があります。ただし中1とか高1の段階から過去問を解くのは早すぎるので、どの教科が入試では必須なのか、くらいは把握しておきましょう。最初のころは教科書を中心に、基本を反復して徹底的に身につけることに全力をそそぎます。そのようにして基礎学力がついてきたら、徐々に過去問にも挑戦していくことが大切です。

概要をまず決め、徐々に絞っていく

一橋大学に合格するとか、中央、同志社、立教、早稲田、明治、法政に入学するといった目標設定をした時点では、いってみれば「大雑把なイメージ」しかありません。そのとき脳裏に、日ごろ行うべきノルマが、細かい点まで思い浮かぶ人はまずいないでしょう。

受験計画は、まずは大きなところから入り、徐々に狭めていくことによって、最終的に毎日のノルマの決定にまでたどり着きます。この流れは会社の事業計画でもそうですし、オリンピックをめざすスポーツでもそうでしょう。事業計画では会社の方針とかスローガンをまず立て、そのあとにマーケティング目標とか、上半期・下半期の目標というように絞っていきます。

スポーツでも、オリンピックで金メダルを取ると決めたら、何秒台という目標を決めます。今年中に何秒台になると決め、次に上半期・下半期、1か月後は、それぞれ何秒台というように目標を細かく設定していきます。

高校入試や大学入試における受験計画でも同様です。また医師や地方・国家公務員試験、ファイナンシャルプランナー、一級建築士、不動産鑑定士などの資格取得を目指している人でも同様です。まずは1年単位で目標を決め、そのあと上半期や下半期といった半年ごとの目標を立てます。その後は3か月後、1か月後の目標設定に進みます。また夏休みや冬休み、春休み、ゴールデンウィーク、年末年始などの長期休暇での目標設定も効果的です。

「効率的な勉強の順序」でも述べていますが、人の脳は「概要から詳細」へという流れが自然です。
勉強方法自体も、まずは大きくとらえてイメージ化することが最初の課題です。そのあとに細かいことを覚えたり、暗記事項をもってくるわけです。受験計画の立て方も、これと一緒です。概要から詳細へという流れは、人間の脳にとって自然な流れなのですから、この方法で計画を練っていくことが、もっともストレスがかからない、効率的な計画の立て方になるです。

なお計画を立てるさいは、受験計画表をエクセルや手書きでつくるなどして、「見える化」すると効果的です。1年を12等分し、そこにスケジュールをいろいろ書き込んでいくのです。こうすることでアナログ時計のように、「だいたい今、どのへんにいるのか」が一目でわかるようになります。色分けするのも有効でしょう。高校受験や大学受験、高専、院試などなど、あらゆる受験に有効です。

箇条書きにするだけではなく、グラフにすることでモチベーションも上がります。右脳を活用したスケジュールにできるのです。過ぎ去った部分は色で塗っていくと、あとどれだけの時間が残されているのかも、すぐにわかります。また1か月単位や1日単位でもグラフにすると、計画を立てやすくなります。1か月単位の場合は、カレンダーを利用しましょう。

毎日のノルマを決定する

まずは大きな目標設定を行い、次に1年単位の目標、そして上半期・下半期あるいは3か月、1か月単位の目標と少しずつ絞ってきて、最終的には1日のノルマにまで、ようやくたどり着きます。

1日単位でグラフを作成して「見える化」をする場合は、24個の等間隔のマス目をつくります。まずは絶対に欠かせない睡眠時間から塗りつぶし、その次に食事時間や入浴なども塗りつぶしていきます。そのように「生きていくうえで絶対に欠かせない部分」を塗りつぶして、最後に空いた箇所、残ったマス目が勉強できる時間帯になります。

なお前述したように、多くの時間があるからといって、無理して詰め込まないように注意します。3時間空きがあっても、1時間半から2時間くらいの勉強にしておく、といった感じですね。

人間は、たくさん時間があるから集中できるというわけではありません。かえって集中力が低下して、だらだらとしてしまうものです。制限時間があったほうが集中力を発揮できるのが、脳の特性です。ですから1日7時間使えたとしても、3時間くらいに絞ると、とても質の高い受験勉強が可能になります。

もちろん勉強時間に関しては、先ほど述べたように、目指すべき最終目標に見合ったものにすべきです。
東大を目指す場合、1日3時間では少ないことがほとんどなので、その場合は学習時間を増やします。ただその場合も7時間使えるとしたら、勉強は6時間までにしておいて、しかも3時間ずつに分けたり、休憩をはさみつつ1時間を5セット行うという方法のほうが集中力を維持できます。

このようにして1日のノルマが割り出されました。あとは実行あるのみです。
毎日の習慣化が、勉強のモチベーション維持につながっていきます。

なお、たまには計画倒れとなる日があるかもしれません。そういったときは気持ちを切り替え、柔軟に対応していきましょう。また当初たてた計画が、本当に自分に見合ったものとも限りません。毎日、受験計画通りに勉強をこなしていくなかで、「なんか辛いな」とか「詰め込みすぎたな」「方向性を誤ったな」ということに気づいたら、思い切って計画変更をしていくことも重要です。受験計画の立て方においては、最初の計画を貫くことも大切ですが、臨機応変に、思い切って軌道修正をしていくことも、ときには必要となります。