細切れ勉強法は忙しい人にぴったり

細切れ勉強法とは、その名のとおり、ちょっとした隙間時間を有効活用して、それを学習に充てようという勉強方法。ふつうの中学生や高校生、あるいは浪人生の場合、帰宅してから十分な時間を確保できることが多いので、それほど必要ではないのかもしれません。

この学習法が効力を発揮するのは、仕事が忙しくて、なかなか勉強時間を取れない社会人やOL。
そのほか育児や家事に忙しい主婦や、介護をしている人などです。

しかし、どんなに忙しいスケジュールであっても勉強のやる気さえあれば、5分や10分くらいの空き時間は捻出できるはずです。うまく調整すれば、1日のうち、何度かそのようなチャンスをつくれるものです。
細切れ時間勉強法は、「まとまった勉強時間」をつくれない人にとって、とても効果的な勉強方法です。

イメージからすると細切れに勉強しても、あまり集中できず、なかなか進んでいかないと思われがちです。
でもじつは、そうでもありません。むしろ”短時間だからこそのメリット”が、いくつかあります。時間が短いからこそ、時間が十分にある人よりも、質の高い学習が可能になることもあるのです。

細切れにする効果とは?

細切れ勉強法には、多くの心理効果のエッセンスがつまっています。まとめると以下の効果が期待できます。

  • 締め切り効果
  • ツァイガルニック効果
  • 初頭効果と終末効果
  • 初頭努力と終末努力

少なくとも4つの心理学的効果を期待できるわけです。
締め切り効果は、「勉強に集中する方法」でも解説しましたが、時間制限があったほうが扁桃体が活性化して、集中力がアップするという心理効果です。扁桃体とは、脳の中心付近にあって、感情や本能の元となっている部分。「適度な緊張感」を感じると、扁桃体が興奮し、脳全体の機能を高めてくれるのです。

1日中、自由に勉強時間があるよりも、1時間とか3時間だけと決めて学習したほうが、中身のある勉強になることは、だいたい分かると思います。細切れ時間勉強法になると、もっと短時間になります。そして、10分しかないとか30分しかないという「緊迫した状況」は扁桃体を刺激し、必然的に集中力を高めてくれます。これが質の高い勉強を生むわけです。

集中力がアップすれば、それだけ思考力や記憶力も高まり、だらだら勉強している人よりも実りある学習が可能となります。中学生や高校生、浪人生も、たとえ学習時間がたっぷりあったとしても、あえて時間を細かく区切り、たとえば「3時間だけしか勉強しない」と決めることによって、学習が「圧縮」され、それだけ集中力をアップすることができます。

もうちょっと勉強したい・・・これがポイント

細切れ時間勉強法を実践していると、いつも区切りのいいところで終わるとは限りません。とくに電車のなかや、ちょっとした待ち時間、歩いているときなどを利用して学習していると、不本意なところで終了を余儀なくされることが多々あるものです。

通常だと、そうしたときは残念な気持ちになり、「もやもやとしたもの」が胸の中に残るわけですが、実は、これにはメリットがあります。中途半端なところで終わることによって得られる効果を、ツァイガルニック効果といいます。テレビドラマやバラエティー番組でもおなじみの手法です。

テレビ番組は、いつも中途半端なところで終わったり、CMに入ったりしますよね?そのことによって、視聴者の心に、あえて「もやもやしたもの」を残し、次回を楽しみにさせるのです。そして視聴者は次回が待ち遠しくなり、続きや、橋渡しとしてのCMを観てしまうことになるのです。これで視聴率がアップします。

勉強が中途半端なところで終わることは、たしかに気分がすっきりしませんが、そのことが次の勉強を待ち遠しくさせます。また中途半端に終わると、(顕在)意識では学んだことを忘れても、潜在意識下では先の展開を気にし続けているものです。これが「無意識の復習効果」を生みます。勉強したことを無意識のうちに復習しているのですから、すっきりとキリのいいところで終える勉強方法よりも、記憶に定着しやすくなります。

また、「次回の待ち遠しさ」が、細切れ時間を積極的に捻出しようという気持ちにさせます。そして実際に細切れ時間をつくりだします。そのときには勉強のモチベーションが高まっているので、先ほどの締め切り効果もあいまって、ますます集中力が高まっていくというわけです。この好循環によって、たとえ短時間であっても、最大限に質の高い学習が可能になります。

最初と最後は記憶しやすい

心理学に、初頭効果終末効果(新近効果)というものがあります。これは何事も、初めと終わり(直近のもの)は記憶に残りやすいという効果。

たとえば初めて接するような言葉を、1分間に10個覚えるような課題を与えられたときを想像してみましょう。人は途中の言葉を忘れてしまっても、一番最初に出てきた単語と一番最後の単語は、はっきりと覚えていたりします。

細切れ時間勉強法によって時間を短く区切るということは、勉強の表面積を多くすることです。
すると、「最初と最後」が多くなるわけです。そのため、勉強したことが記憶に残りやすくなるという効果が期待できます。何かを暗記しようというときは、だらだらと1時間行うよりも、15分で1セットとするなど、できるだけ学習の表面積を多くしたほうが記憶に残りやすくなります。

細切れ時間勉強法は、まとまった時間の取れない忙しい人にかぎらず、歴史の年号や英単語を覚えたい学生にとっても最適な学習方法なのです。

最初と最後は集中しやすい

何かに取り組むとき、最初は「エンジンの掛け始め」ですから、必然的に集中力が高くなります。
ところが時間がたつにつれて「スタミナ切れ」してきて、集中力に「中だるみ」が生じてきます。しかし終了間近になると、不思議と力がわいてきてラストスパートをかけることができます。これを心理学では、初頭努力終末努力と呼んでいます。先ほどの言葉と似ていますね。

人の集中力は90分が限界といわれるので、学校の授業でも、その手前の60分前後に調整されています。
しかし60分もあると、途中で集中力が切れてきて「中だるみ」が生じてきます。しかし、あともう少しで終わるというときに、集中力が復活してくるものです。これは学校のテストや模試(模擬試験)でも同様です。

このようなときは、自分の中で時間を2等分して考えればよいのです。60分あったら、30分と30分に分けるのです。そうすると、ほかの人が30分あたりで「中だるみ」しているときに、上手に終末努力と初頭努力を享受することができます。当然、時間が短いほど、中だるみをすることが少なくなります。

細切れ勉強法は、とくに意識しなくても短時間の学習になるので、「中だるみ」が生じる危険がグンと減ります。初頭努力と終末努力だけで構成されるようなものなので、高い集中力を保つことができるのです。

以上のように細切れで勉強することは、扁桃体への適度な刺激による締め切り効果、中途半端なところで終わるツァイガルニック効果。そして初頭効果や終末効果、そして初頭努力と終末努力といった、多くの心理効果によって、思っているよりも実は効率的な学習ができるのです。