苦手科目を克服するには?

誰にでも苦手科目はあるものです。数学や理科(物理、化学、生物)といった理数系が苦手という人もいれば、社会科(歴史、地理、公民、倫理)、国語(現代文、古文、漢文)、英語といった文系が苦手という人もいることでしょう。もともと持っている気質や性格が影響することもありますし、何かがきっかけで嫌いになってしまうこともあります。

苦手教科が生じる理由は、人によって様々でしょうが、現実問題として今、苦手な科目があることに変わりはありません。苦手科目がある場合、その対処法は3つあります。

  • そのままにする
  • 得意科目に力を入れる
  • 苦手科目を克服する

一つ目の対処法は、苦手なものは誰にでもあるので、開き直って放置しておくという方法です。
2つ目は苦手な科目を放置はしますが、かわりに得意科目に力を入れていくという方法。これは脳科学的にみても有効なテクニックです。短所に目をつぶり、長所を伸ばすことによって、勉強自体がどんどん好きになり、やがては苦手科目にも好影響が及んでいくからです。これを学習の転移とか特恵効果と呼んでいます。

ここでは3つ目の「苦手科目を克服する」方法について解説していきます。

苦手科目を制覇する2つの方法

これには2つのアプローチがあります。

  • 少しずつ接近していく
  • 基本から学んでいく

苦手科目を克服するには、とりあえず行動を開始しなければなりません。行動なくして前進はないからです。つまり数学が苦手だったら、まずは数学の教科書や受験参考書を手に取り、基本から読み進める必要があります。あるいは問題集を解くなどですね。

しかし、長い間、苦手教科から遠ざかっていた人にとっては、最初の一歩がなかなか踏み出せないことがあります。そうなると頭では、「勉強しなければ・・・。 行動を開始しないと進まないのだから・・・」ということが理屈ではわかっていても、けっきょくは行動に出てこない可能性があります。

こういったケースでは、まずは環境を整えることからスタートします。
人は何度も接しているものに対して、親近感を持つ特性があります。これをザイオン効果とか単純接触効果といいます。何度も目にするテレビコマーシャルには親近感がわいてきて、購入という行動にむすびつきます。各企業が広告費をかけてまでCMを流すのは、もちろん商品の存在を知ってもらうという理由もありますが、ザイオン効果も狙っているわけです。

初めは嫌いだった人でも、何度も接して話しているうちに、だんだん好きになってきた、ということもあります。これも接する回数を多くしたことによって、嫌悪感が親近感に変わったからです。この単純近接効果を利用するなら、食事のときやテレビを観るときなどには、つねにすぐそばに苦手科目の教科書やテキストを置いておくことです。

そして食事を待っている間や食後、CMに入ったときなど、おもむろに教科書を手に取ってみるのです。別に真剣に読み進める必要はありません。ぱらぱらとめくって、適当なところに目をとめ「ふーん、そうなんだぁ・・・」程度で十分です。イラストや写真に見入ってみるのでもよいでしょう。

そのようにしているうちに、苦手科目にたいしての嫌悪感が薄れてきて、徐々に親近感に変わっていきます。ポイントは、1日のなかで、苦手教科のテキストに触れる回数をできるだけ多くすることです。一度に長時間触れることができればいいのですが、いまはその段階ではありません。ですから1回の接触時間がたとえ1分未満であっても、その回数を多くするのです。

要は、かなりの勉強嫌いなら、まずはそのことを「自覚」し、段階を踏んで好きになっていきましょう、ということです。無理して、いきなり長時間取り組んでも、ストレスがかかるだけだからです。それでは苦手意識や嫌悪感が増すだけです。

基本から、おさらいする

苦手科目にたいして親近感がわいてきたら、徐々に勉強時間を伸ばしていきます。最初は数分眺めるだけであっても、だんだんと10分、15分、30分と伸ばしていくわけです。

ある程度の時間を確保できるようになったら、まずは「簡単なところから」開始しましょう。もしあなたが高校1年生で、数学がまったく分からなかったら、それは中学数学の基礎ができていないからかもしれません。その場合は、見栄も外聞もすてて、中学1年生の数学から学びなおします。

高1で日本史や英語が分からない場合も、中学レベルの基本から学びなおすわけです。歴史の場合は、漫画を利用するというのも手です。イメージで歴史の流れや概観をつかめるので、理解が早く進みます。高校受験や大学受験をひかえている学生は、なかなか、そのような悠長なことはしてられないかもしれませんが、空いた時間などを利用して、ちょっとずつでもいいので基礎固めをしたほうがいいと思います。

苦手科目が生じる理由として、基本が理解できないために、その先がわからない、ということがあります。
勉強はピラミッドのように、土台からの積み上げ作業なので、基本が理解できないと当然、その先の応用も理解できません。

高校入試や大学入試というと、過去問などの難しい問題をたくさん解くことばかりに頭がいきがちです。
周りの友達がみんな頑張っている姿を目にしていると、余計気持ちは焦るものです。しかし基礎力がないと「砂上の楼閣」ということになり、いくら頑張っても偏差値が上がらず、模試の判定結果もC,D,Eのままであり、なかなかA,B判定にならないということに・・・。

基本をマスターするには分厚い参考書よりも、まずは薄い入門書や教科書を使用するようにします。
厚い参考書だと、詳細なことまで解説しているので、よけいな情報ばかりが入ってきて、かえって基本がぼやけてしまうからです。学生なら教科書こそが、最高の入門書ではないでしょうか。
資格試験を目指している人も、最初はできるだけ薄いものを選ぶと、基本が身に付きやすくなります。苦手科目というか分からない分野があれば、小学校や中学校の参考書を買ってきて勉強しなおすのも有効です。
誰も見ていないので、見栄はすてましょう。買うときに、ちょっと勇気がいるくらいなものです。

以上のように苦手科目は、こちらから少しずつ接近していって苦手意識をなくすことが最初のステップです。
それとともに基本から、ゆっくりと段階をおって理解していくという順序が大切になってくるのです。ここで、またいきなり難しいものから始めてしまうと「全然わからない、覚えられない」ということになり、堂々巡りに・・・。

要するに現在の自分の状況を「自覚」し、一段一段、階段を上るようにして学習を進めていくことが最良の苦手科目克服法となるのです。周りの友達に感化されて気持ちが焦るあまり、現在の自分の実力を無視して急に駆け上がったり、1段飛ばしで昇ると「スタミナ切れ」や「つまづき」の原因になります。
無理のない正しい勉強方法によって、苦手分野の勉強が楽しいと感じるようになったときこそ、苦手科目を克服できた瞬間です。そのときは、見事に得意科目に転換できたということですね。