受験勉強で注意すべきこととは?

高校受験や大学センター試験を目標にした受験勉強では、「絶対に心がけるべき注意点」が存在します。
これはもちろん、弁護士や医師、看護師、ファイナンシャルプランナー、不動産鑑定士、地方・国家公務員などを目指す場合でも同様です。

これらの注意事項を守らないと、当サイトで解説している”効率的な勉強方法”をいくら実践しても、ざるで水をすくうような結果ともなりかねません。それでは、受験で気を付けるべき注意事項とは何でしょうか?

  • 慢性的にストレスをかけすぎない
  • 「やっているつもり」にならない
  • アルコールを飲みすぎない
  • 頭部に打撃を与えない

これらは非常に重要です。心当たりがあるかたは、猛勉強をしても学習内容が身につかない危険性があるので、注意しましょう。どれも、ちょっとした心がけで防げるはずです。要は、その危険性を「知っているか知らないか」・・・たったそれだけの差です。結局は脳をいたわり、慢心に陥らないことが大事になるのです。

慢性的にストレスをかけすぎない

ストレスには一時的なものと、慢性的に持続するものとがあります。
一時的なものとは運動だったり筋トレだったり、勉強に集中しているとき、あるいは試験を受けているときなどの状態です。このようなものは、アドレナリンやノルアドレナリンを分泌させて、一時的に心拍を上げたり、血圧や血糖値を上昇させますが、休憩に入れば緊張が解けてリラックスします。こういったタイプのストレスは持続しないので、受験においては安全圏内といえます。むしろ脳にいい刺激を与えることができます。

それに対して慢性的なストレスがかかると、副腎皮質からコルチゾールというストレスホルモンが分泌されます。こちらも血圧や血糖を上げることでストレスに対処します。しかしアドレナリンなどと異なるところは、長期にわたって血圧や血糖が高い状態がつづき、ストレス状態が慢性化するという点です。

こういった状態は体にとって悪いことはもちろんですが、脳にも打撃を与えてしまいます。
副腎皮質から分泌されるコルチゾールは、脳に送られます。すると、記憶を担当している部位である海馬に影響を与えます。少量なら大丈夫なのですが、多量のコルチゾールが海馬に押し寄せると、海馬に打撃を与え委縮させます。その結果、記憶力が低下してしまうのです。PTSDの患者さんでは、慢性的にストレスがかかることで、通常よりも海馬が小さくなっているといわれています。その結果、物覚えが悪くなります。

中学・高校受験や各種資格試験の勉強は、ともすればストレスがたまりがちです。しかも受験期間は、けっこう長く続いたりします。そのため、受験期間中にストレスをうまくコントロールできないと、それが慢性化して、コルチゾールが海馬を委縮させ、記憶力が下がる危険があるのです。

ですから受験勉強では、やりすぎは禁物です。また、いやいや行なうような心理状態では、慢性的にストレスがかかります。このような状態は、コルチゾールの分泌だけではなく、自律神経を狂わせ、脳内のセロトニンやドーパミンの分泌も少なくさせる可能性があります。そうなると勉強へのやる気がわいてこない、ということに・・・。

そうならないためには、受験勉強を毎日の習慣にして自動化したり、楽しく行うことが「防波堤」となります。
そのほか睡眠を削ってまで無理をしないことです。1日の最後には、十分な長さの睡眠時間を取ることで、ストレスは和らぎます。とくに夢を見ているレム睡眠のときに、神経伝達物質を休めて、うつ状態になることを防いでいるといわれています。また睡眠以外では、勉強の合間に、上手に有酸素運動やストレッチを組み入れることでもストレスを少なくできます。

学習のモチベーションをずっと維持していくためにも、記憶力を低下させないためにも、できるだけストレスを減らす工夫が大切です。ですから趣味のゲームやスポーツ、好きな音楽などを受験期間中に禁止したり、制限したりすることは得策ではありません。こういった趣味や楽しみは、ストレスの多い受験期間中だからこそ、持ち続けていくべきなのです。

「やっているつもり」にならない

受験勉強の注意事項として、「頑張っているつもり」という状態も危険です。
これは前項とは逆に、ストレスがかからず気分がいいかもしれませんが、まったく実力がつかないので、あとあとになって愕然とすることになります。模試の判定結果や本番の試験で、自分の実力を思い知らされる結果となるのです。

「勉強しているつもり」とは、たとえばどういったことを指すのでしょうか?

  • ノートを書き写す「作業」だけで満足してしまう
  • 難しい過去問を解くだけで満足してしまう
  • まったく復習をしないで先に進むだけ
  • インプットだけでアウトプットしない

たとえば学校の板書を走り書きしたものを、自宅に帰ってから清書する。これ自体は復習にもなりますし、悪いことではありません。しかし、これで「勉強したつもり」になってしまうとすれば問題です。そのほか独学の人であれば、教科書の内容をノートに丸写しすることも「勉強したつもり」の範ちゅうです。

文字を書き写す作業というのは、けっこうな時間がかかります。「しているつもり」になる人は、それだけで身についたと錯覚してしまうわけです。しかし、わざわざ書き写さなくても、教科書や受験参考書を何度も「黙読」することによって、内容は理解できますし、記憶していくことができます。どうしても覚えたいところは、声に出して音読すればよいのです。

また基本的なことを理解できていない人が、背伸びをして難しい過去問ばかりをする。これも「勉強しているつもり」です。受験勉強というものは、現在の自分の実力を「自覚」することころから始まります。これはスポーツや芸事でも一緒ではないでしょうか。基本がまだ身についていなければ、まずは基礎作りからです。そうしないと、難しいことをしても実力アップにはつながりません。砂上の楼閣となってしまいます。以上の「やっているつもり」は代理満足といい、実際には内実が伴っていないので、学力がアップすることもないわけです。

そのほか、まったく復習することをしないで、新しいことを学ぶだけという勉強方法も問題です。
一度読んだだけで身に付く人は、ほとんどいません。最低でも3回は読む必要があります。それであっても、1か月もすれば記憶が薄れてきます。エビングハウスの忘却曲線という実験でも明らかにされているように、人は、復習を積み重ねることによってこそ、はじめて勉強内容をものにできるのです。

インプット一辺倒で、アプトプットをしない勉強法も、問題があります。
インプットだけとは、たとえば教科書を読むだけの状態です。それでは本当に理解しているのか、記憶できているのか、実際に応用がきくのか分かりません。とくに高校受験や大学入試、資格試験というのは、出題問題に対して解答したり、マークシートを塗りつぶさなければなりません。

そのため、日ごろから「書いてアウトプットする」という訓練が、どうしても欠かせないのです。
書くことに慣れるということです。暗唱して声に出して言ってみたり、暗記用の単語カードでもアウトプットの確認はできますが、書くことによってアウトプットできるようにならなければ、試験の合格はおぼつきません。

以上のように受験勉強では、「頑張っているつもり」で学習していても、なかなか実力はつきません。基礎から積み上げ、何度も反復し、アウトプットのトレーニングもして、「本物の地力」をつけていく必要があるのです。つまり自分の実力を正確に知り、「井の中の蛙」にならず、常に慢心を戒めていく必要があるということです。

そのほかの注意事項

そのほか受験勉強をしていくうえで、アルコールの飲みすぎと、頭部への打撃も要注意です。
アルコールは、たとえ少量であっても海馬に影響を与えます。お酒を飲むと、記憶を管理している海馬でのLTPを抑制することが知られています。

LTPとは長期増強という意味で、「長期にわたって、神経繊維に電気信号が強く流れ続けること」。
つまりLTPを阻害してしまうということは、「短期記憶が長期記憶に変換されること」を邪魔してしまうということです。過度にアルコールを飲むと、記憶がなくなることがありますが、それはこのような仕組みによります。
これをアルコール性健忘症といいます。

ですから、たとえ3時間も5時間も一生懸命に勉強したとしても、そのあとにアルコールを飲んでしまえば、LTPが阻害され、記憶に定着しにくくなるということです。中学生や高校生はお酒とは関係ないかもしれませんが、社会人で資格取得を目指しているかたは要注意です。仕事から疲れて帰ってきて、晩酌をしたあと、ほろ酔い気分で資格試験の勉強を始める。これでは学んだことが、脳に定着せず、なかなか覚えられないということに・・・。ですから、もし酒を飲みたいのであれば、その前後には勉強しないほうがいいかもしれません。とくに飲酒の直前に勉強してしまうと、努力が無駄になる可能性があります。

そのほか、脳への打撃という点でも注意が必要です。
脳という器官は非常にデリケートにできていて、握りこぶしで軽くコツンと叩くだけでも、その瞬間に数千個もの神経細胞(ニューロン)が死滅するといわれています。テレビのお笑い番組を観ていて、いつも思うのですが、相方が突っ込みを入れて頭を思い切りたたく場面があります。こういったとき、「ああ、またこの人は脳細胞が数千個、いや数万個、死滅している。とんでもないことだ。」と感じています。将来的には、アルツハイマー型の認知症の危険があるのではないでしょうか。いますぐ中止すべきです。

軽く頭を叩いただけでも、その瞬間に数千個もの神経細胞が死んでしまうのですから、受験生がボクシングや空手、総合格闘技など、頭部の打撃を受けるものを行なっている場合は、問題があるかもしれません。
せっかく懸命な勉強によって短期記憶を長期記憶にできたとしても、頭部に打撃を受けることで、一瞬にして消え去ってしまう可能性があるからです。

自身の精神的ストレスという内側からの打撃だけではなく、外部からの打撃にも十分注意していきましょう。