予習は授業を黄金に変える

予習をすることは、小学生や中学生、高校生、大学生といった「授業を受けるスタイルの学習」をしている学生にとって、無視できない効果があります。これは、もちろん浪人生や社会人が、受験予備校に通っている場合でも同様です。

授業とは、「その道に精通した”達人”によるレクチャー」です。
この時間帯を有意義にすごせるか否かによって、学力や偏差値、模試の判定結果のアップに影響します。
たしかに、なかには嫌いな先生や、わかりづらい説明をする講師、つまらない話しかしない教授などもいるでしょう。

また人には、一つぐらいは嫌いな科目があったりします。(もちろん全ての教科が好きという人もいるでしょう)しかし、そういったマイナスの環境要因ですら、すべてプラスに変えてしまう力が予習にはあります。

予習は、よく復習と比較されます。「どちらが大切ですか?」という質問を、ネットの掲示板などで目にします。結論からいうと、どちらも大切です。ただし独学で受験勉強や資格試験に取り組んでいる人は、もちろん予習の部分が割愛されます。授業を受けないからです。その意味では予備校や学習塾に通わずに、自宅で独学で頑張るというスタイルは、ある意味、自分のペースで進められるので気楽かもしれませんね。

予習をする効果とは?

予習をすることには、以下のような効果があります。

  • 習慣化することで勉強が好きになる
  • 授業が、おのずと復習にもなる
  • 疑問点を明確にして授業を受けられる
  • そのため聴き取ろうとして、集中力がアップする
  • 眠気防止効果がある

予習を習慣づけることで、学校の授業がつづくかぎり、家庭での勉強はしぜんと生活の一部になります。
「明日、授業がある。予習しておかなければ・・・」という気持ちになります。あたかも寝る前に、時間割どおりに教科書やノートをカバンに詰め込んで用意しておくのと同じような感覚で、「軽い気持ちで」教科書にサラッと目を通しておこうという流れになるわけですね。

いったん前日の予習が習慣になれば、その行動が当たり前になります。
復習の場合は、タイミングや回数などに悩むことが多いものですが、予習の場合は簡単です。前日の夜にでも、軽く勉強しておくだけでいいからです。しかも1回でOKです。

復習は「受け身」ですが、予習は「能動的」です。
自分から進んで取り組むわけですから、予習を習慣にしている人は、しぜんと「勉強が好き」になってきます。復習主体の学習スタイルだと、「義務感」ばかりを感じますが、予習から開始する学習だと、すがすがしい気持ちになるものです。

授業が復習にもなる

なかには授業と、その復習しかしない、という人もいます。この場合は、授業が初めての学習になります。
そうなると、「理解が追いつかない」という事態が生じがちになり、”達人”による、せっかくの授業も台無しになりかねません。授業は「1回しかない貴重なもの」ですから、非常にもったいないことをしているわけです。

授業中は、黒板に書いていることをノートに書き写すだけで精いっぱい。内容はまったく頭に入ってこない。
そんな状態になります。授業で、はじめて全体の概要を理解しようするため、補足事項や詳細にまで頭がまわらなくなります。こういった概要理解を予習の段階で終えておけば、授業では、補足事項や詳細なことにも注意が向くようになるのです。授業内容が理解できていない状態で、いくら家に帰ってから復習をしても、じつは復習にすらなっていないことが多々あります。

しかし、前日にサラッとでも予習をしておけば、全体の流れをつかめるし、だいたいどのようなことが書いてあるのかを把握することができます。つまり予習の段階で、たとえ左脳的知識は曖昧でも、右脳によるイメージ的概要は、頭に入るわけです。これによって、授業で細かい部分の説明をうけたときに、それを理解できる土台を、あらかじめ作っておくことができます。

予習で得た知識は曖昧なことが多いので、多くの場合、疑問点が生じることになります。
これはこれで、大いに歓迎すべきことです。なぜなら睡眠中も無意識に、ずっとそのことを気にし続けているからです。寝ている間も”睡眠学習”をしているようなものです。これが記憶の定着に一役買います。すでに理解していることを復習した後よりも、疑問点を抱えた状態のほうが、睡眠中の長期記憶化が進むのです。

概要を理解する程度でも「予習」をしておけば、授業では初見や初耳ということはないので、先生の言っていることや板書に書かれていることが理解しやすくなります。これは大きな違いです。しかも前日に学んでいることなので、しぜんと復習にもなります。2回繰り返しているわけですから、授業が1回目の学習の人とくらべて、すでに長期記憶化への第一歩を踏み出しています。この時点で、予習をしていない人を大きく引き離しているわけですね。これが毎日積み重なれば、それはいずれ、学力や偏差値、模試の判定結果という「目に見える形」になって表れてきます。

予習をしている人は、その日のうちに自宅に帰ってからでも、もう一度復習しておけば、合計3回学んだことになります。連続3回の学習というのは、長期記憶化への最初のハードルです。授業があった日に、自宅で3回目の勉強をすれば、短期記憶を長期化する第一歩を踏み出したといえるでしょう。ここまでくれば、かなり記憶に定着するので、あとは1週間後、1か月後、3か月後に反復するだけです。

授業に対する意気込みが違ってくる

予習をしてから授業に臨めば、集中力が違ってきます。
なにせ前日の勉強で疑問点を洗い出しているわけですから、「何とか知りたい!」「どういう意味だろう?」という問題意識が芽生えています。そのため乾いたスポンジが、急速に水を吸い上げるように、授業中にどんどん理解と記憶が進んでいきます。

人は好奇心があると、脳のなかで記憶を管理している海馬という部分から、シータ波が発生します。
シータ波は、集中力と記憶力の高さをあらわす指標です。興味のある対象に対しては、無意識のうちに、よく観察しようという気持ちが生じますし、脳裏に焼き付けようという気分になるものです。

好きな趣味にかんしては、周囲が見えなくなるほど没頭したり、とくに覚えようと努力しなくても自然と記憶してしまうのは、このため。予習によって疑問点を明らかにして授業にのぞむことは、好奇心をもつことに通じるので、好きな趣味と同様の効果をもたらすわけですね。

ですから嫌いな科目の場合、ザッとでも予習してから授業にのぞむことは、苦手科目の克服へと通じていきます。好きな教科の場合は、予習をすることで、ますます得意になっていくことでしょう。

予習効果で、授業中の集中力がアップするということは、眠気とも無縁になるということです。
あくびが出るのは、寝不足ばかりではありません。授業が面白くないと感じ、単調なリズムになると、脳が退屈してくるので眠気を覚えるのです。しかし予習をして、「疑問点を知りたい!」という気持ちで授業に臨めば、好奇心が優勢になるので、眠くならないというわけです。部活で眠気がある人に、とくにオススメです。

以上のように予習の効果は、想像以上のものがあります。復習は記憶の定着に大切ですが、それはすでに、”2回目の学習”である授業中から始まっています。予習を自分から進んで行えば、おのずと勉強が好きになる。しかも、集中して授業に臨むことができる。授業内容もしっかりと身につく。このような効果を期待できる予習をしないのは、非常にもったいないといえます。

あとがき

エベレス予習ムービーとか、中学受験用の教材である「四谷大塚の予習シリーズ(ナビ)」とか、いろいろなところで「あらかじめ学習すること」の大切さが言われています。こういった解説を知るために、販売ムービーを購入するのもいいですが、もちろん教科書さえあれば、今日からでもすぐにできます。科目ごとに虎の巻(=あんちょこ)があれば、手助けになるのでいいですね。

教科別に予習の仕方も違ってきます。数学や漢文、古文、英語、国語の現代文、理科、社会科(日本史、世界史、地理、倫理)などなど。翌日に5教科とか授業がある場合は、それだけ予習の時間も増えるわけです。その意味でも、1教科あたりの勉強時間は少なめにしたいものです。

また、すべての教科を同じ比率でやるのではなく、緩急をつけるといいと思います。苦手科目は、時間をかけたとしても、あまり理解できないわけで、サラッと流す程度にします。それだけでも授業の理解度に貢献するはずです。得意科目の場合、面白いからといって予習に時間をかけすぎないことが大切です。時間をとりすぎると、復習の時間などが取れなくなるからです。つまり予習というものは、得意科目であれ不得意科目であれ、全体的にほどほどにしておいたほうがよいということです。

要は概要だけを把握して、あえて詳細部分には目をつむっておくわけです。詳細に気持ちがいくと、今度は概要のイメージを把握できなくなります。勉強の基本は、まずはイメージの構築から入り、その次に細かいことを暗記したりするのが順序。そのため予習では、ザッと流し読みしてイメージだけをつかむほうがよいのです。河合塾や駿台、代ゼミなど受験予備校でも予習が不可欠となっています。こういった予備校は、しっかり学習してからのぞまないと、「勉強しているつもり」になりがちなので注意する必要があります。