最初の1か月間は、最大のパワーで

勉強方法の王道は、最初のころは助走期間をもうけ、徐々に勉強時間や量を増やしていくというのが普通だと思います。これは受験勉強だけではなく、スポーツや芸事、武道などでも共通しています。

しかし何事でも、やり始めというのは好奇心が旺盛であり、とくに努力しなくても、「たくさんの時間を費やしたい」と思うものです。その気持ちを利用して、むしろ、やり始めこそ最大のパワーを注ぐという勉強方法があります。

中学・高校受験、大学センター試験の勉強でも、やり初めのころこそ、最大の力でもって努力する。
たとえば毎日5~7時間くらい勉強してみる。これを、できれば最低でも1か月くらい続けるのです。

この勉強の仕方の特徴は、最初だけ全力を注いで、しばらくしたら緩めるという点にあります。
何カ月も何年も、ずっと全力パワーでやっていたら、へとへとに疲れてしまいます。それは現実的ではありません。ですから、やりはじめの1か月間だけと限定して、そのあいだは、全力を注ぎこむようにします。

受験勉強をはじめたら、最初の1か月間は最大のパワーを注いで、1日5~7時間勉強する。もちろん、もっと出来る人は挑戦してもいいでしょうし、「いや、自分は3時間で精いっぱいだ」という人は、1か月間は毎日、3時間の学習を継続するようにします。そして1か月がすぎたら、1日2時間とかに緩めるわけです。


なぜ、このように最初だけ全力で、時間を増やして取り組むのでしょうか?
それは前述したように、最初のころは好奇心が旺盛なので、そのパワーに乗じてしまおうという考えが、まずひとつ。しかし、それだけではありません。

人は1か月間、同じことを持続することによって、それが習慣になります。
習慣は手続き記憶であり、自転車の乗り方を一度覚えると忘れないように、一度身についた習慣は、なかなか忘れないものです。最初の1か月間、最大のパワーでもって勉強時間をできるだけ伸ばしておけば、それが習慣となり、ふつうとなります。

最初の1か月間の頑張りが、その後の土台となるわけです。
土台が広くしっかりしていたほうが、その上に立派な建築ができるもの。最初の1か月間で、1日7時間の習慣をつけてしまえば、それが「当たり前」と感じるようになります。すると、1か月たった後に、勉強時間を緩めて1日3時間とかにすると、それを非常に少なく感じるようになります。

一度習慣化すれば、それは脳内に太い神経回路を形成したことになります。
すると、1か月経過したあとに勉強時間を少なくしたり、さぼったりしたときに、その神経回路が「待った」をかけます。受験勉強へと引き戻してくれるのです。ふつうは学校の先生や予備校の講師、家庭教師、親、友達などが注意や警告をしてくれたりします。しかし、最初の1か月を全力で頑張った人は、自分の内発的な声、つまり脳内の神経回路が警告を発してくれるようになるのです。

最大限のパワーを発揮して頑張るのは、最初の1か月だけでいいのです。そのあとは、緩めてもOKです。
半年後や1年後に、全力で頑張る時間をつくろうと思っても、なかなかできないものです。最初のころは好奇心も旺盛で、やる気に満ちているので、そうした気持ちを利用して全力を注ぐことは理にかなっています。

試験勉強の最初の1か月の勉強時間を、最大限伸ばすことによって、1か月をすぎてからも、勉強時間に影響を与えていきます。はじめの1か月は、毎日6時間勉強。その後は、3時間に緩めた。しかし、なんだか物足りなく感じ、結局は5時間までに引き上げた。このようなことが起こります。しかも、とくにストレスを感じることなく、勉強時間を延ばすことができるのです。

勉強のやり始めは、どこから手をつけていいのか、分からないことも多々あります。
それでも、とにかくテキストや教科書を何度も黙読したり、音読したり、過去問を解いてみたりして、とにかく勉強時間を増やすことに努力を傾注することです。ぱらぱらと教科書をめくって、なんとなく眺めているだけでもいいのではないでしょうか。

大事なことは机に向かう時間を増やすことです。また電車通学なら、そこでも、とにかく教科書を手に取る「時間」を増やすわけです。そのトータルの努力が、1か月経過したあとに大きな影響を与えるのですから・・・。「最初だけだ」と思えば、頑張れるのではないでしょうか。