ししおどし勉強法とは?

ししおどしとは、言うまでもなく、もともとは農業用として発明された、鳥獣を威嚇するための装置です。

竹筒のなかに水がたまっていき、一定のところまでくると重みで、しぜんと傾いて排水する。
そして元の位置に戻るときに、石に「カーン」とぶつかり、その音で、農作物から鳥獣を追い払うわけです。まさに水力発電にも似た、自然の力をうまく活用した仕組みですね。

その後、日本庭園に取り入れられ、風流なようすは多くの人を魅了するにいたっています。

さて、そんな「ししおどし」ですが、勉強方法としても役立てられます。しかし、机のそばに置いて、その音を聞くとか、そういう意味ではないですよ(笑)。

名付けて「ししおどし勉強法」
つねに「ししおどし」をイメージしながら中学受験や高校受験、大学入試試験、各種の資格試験を乗り切っていきましょう!ということです。あくまでもイメージです。何をやるにしても、ししおどしをイメージするわけです。活用できる場面は、たとえば以下のようなときです。

  • 適度にストレスを発散する
  • インプットをしたらアウトプットをする
  • 少しずつ記憶していく
  • 朝の勉強を活用する

ストレスを貯めないようにしよう

ししおどし勉強法のひとつめは、ストレスを蓄積しすぎない、ということです。
ストレスがたまっていくことは、ちょうど「ししおどし」で、水がたまっていく様子と重なります。もちろんストレスがたまってくれば、しぜんと息抜きをして発散するわけですが、根をつめて受験勉強をしていると、そういった「無意識に発動する機能」が鈍ることがあります。

そうなると休憩をはさまず無理に勉強しつづけ、疲れが心身に蓄積しながら気づかない、なんてことにもなりかねません。その結果、あるとき病気として目に見える形に現れます。そうなる前に、適当なタイミングでストレスを発散させていくことが、長い受験期間を生き抜いていく秘訣となります。

ストレス解消という意味では、2つの視点が必要です。
1つは1日というスパン。あまり立て続けに連続して勉強すると、知らず間にストレスが蓄積します。人間の集中力は、よくて90分程度しか持たないといわれています。ですから、それ以上は続けて勉強せずに、間に休憩を適宜はさみましょう。そして竹の中にたまった水(=ストレス)を排出することが大切です。それによって、勉強のモチベーションを維持していくことができます。

ストレス解消における2つ目の視点は、毎日連続で勉強していると疲れてくるので、数日に1回は、勉強時間を少なくするか、まったく勉強しない日をもうける、ということです。

ただ高校入試とか大学入試の学習となると、そう頻繁にまったく勉強しない日を設けるのもリスクがあります。そこで、2~3日に1回、あるいはもっと長く、1週間に1回というように一定期間ごとに、1日だけ普段よりも勉強時間をうんと少なくする日をもうけるようにします。これによって竹筒のなかにたまった水(=勉強のストレス)を排出することができます。これだけで勉強のやる気が違ってきます。

インプットしたらアウトプットを

ししおどし勉強法において、水がたまっていくようすはインプットにたとえられます。
まずは、テキストや教科書をじっくりと黙読して、理解を深め、覚えていく。そのようにして知識を、長期記憶化していきます。

しかし記憶というものは、外に出してこそ意味があります。
また、大学センター試験や各種国家試験では、答案用紙にアウトプットすることが問われます。問題を出す側にしてみれば、試験範囲を本当に理解しているのか、本当に記憶しているのかを、答案用紙にアウトプットしてもらうことでしか確認できないわけですね。

教養のためとか、自己啓発のために学ぶのであれば、インプットだけでいいのかもしれません。
しかし受験勉強では、かならず本番の試験というものがあります。そのためインプットしたことをアウトプットする訓練がどうしても必要になるわけです。獅子脅しの動きを参考にして、「ある程度水がたまったな(=インプットしたな)」と思ったら、どんどん問題集や過去問、模試(模擬試験)によってアウトプットしていきましょう!

脳に記憶できたからといって、それをいつでも自在に引き出せるとは限りません。記憶が脳にあるだけでは、宝の持ち腐れです。それを引き出せなければなりません。これこそが受験勉強です。

また、アウトプットするトレーニングによって、インプットした知識が、さらに確固としたものになる、というメリットもあります。つまりアウトプットは、インプットでもあるわけです。別の方向からのインプットとでもいいましょうか。ししおどしでは、水がたまっては排出されていくという動きが繰り返されます。その動きをイメージしながら、インプットしてはアウトプットするという流れを忘れないようにしましょう。

いっぺんに詰め込まない

ししおどしから学べることは、ほかにもあります。
それは、一度に大量のことを覚えない、ということです。ししおどしでは、竹筒の中に、少しずつ水が入っていきますよね?もしこれが、ザーッといっぺんに水が流れるとしたら?つねに先端が下に押されて、竹筒の中に水が入らないに違いありません。ゆっくりと入っていくからこそ、結果的に多くを入れることができるわけです。

試験勉強においては、教科書の理解とか、そういった部分では一度に多く読んでも大丈夫です。
概要理解は右脳が担当しており、いくらでもインプットできるからです。そうではなく、英単語のスペルとか日本史の年号とか、元素記号とか、無味乾燥な丸暗記の場合は、一度に大量に覚えないほうがよいのです。

何かを暗記しようとするときは、まずは海馬に蓄えられます。
しかし、問題は記憶の干渉です。古い記憶は、新しく入ってきた記憶に押し出され、干渉されるという問題があります。そのため短時間に大量のことを覚えようとしないほうがよいのです。

それではどうするのかというと、ちょっと覚えては休憩をはさんで、脳に定着させる。そして、またちょっと記憶作業をして休憩する、という繰り返しになります。勉強を休んでいるときに、記憶したことの整理が脳内で行われるのです。その意味では、英単語などは、移動時の細切れ時間を活用するのがオススメです。

早朝学習は竹筒が空の状態

そのほか、ししおどし勉強法は、朝の勉強にも応用できます。
水を排出することは、睡眠中の脳内の整理に相当します。人は寝ているときに、記憶が整理され、あるべき場所へと格納されます。ちょうど部屋中に散らばっていた本が、本棚に収まるようなものです。

すると起きたときには、脳内がすっきりと整理されているので、記憶の干渉を受けることなく、多くのことを記憶していけるようになります。これはちょうど、竹筒が石に「カーン」と当ったあとに、元の位置に戻ったような状態です。そのとき竹筒のなかには水がはいっていませんが、これは脳内に空きスペースが出ている状態と重なります。

人は1日をスタートして、いろいろな経験をしていくなかで、昼→夕方→夜と進むにつれて、だんだんと脳内に情報が蓄積していきます。これは、ししおどしの竹筒のなかに水がたまっていく様子といっしょです。そうなると夜に勉強しても、あまり暗記できないということになります。そこで、竹筒のなかに水がない朝の時間帯に、覚えたいことを覚えていきましょう!ということなのです。

このように、ししおどし勉強法は、ししおどしの動きをイメージした勉強のやり方となります。
もっと大きな視点でみれば、竹筒のなかに次第に水がたまっていく様子は、受験勉強の努力といえます。そして、水を一気に排出しきることは、試験の本番で実力を100%出し切ることに当たります。最後に元の位置に戻って「カーン」と心地よい音を立てる様子は、あたかも第一志望校に合格した喜びにたとえられます。