記憶力を高める方法とは?

記憶力を高める方法は、じつに多岐にわたります。書店にいけば、さまざまな記憶術や暗記法を解説した本が、所せましとならんでいます。それらを見渡してみると、記憶力アップ法は、大きく4つに分類できます。

  • 脳の機能を高める方法 (脳のトレーニング、血行促進、リラックスなど)
  • 日頃の学習に取り入れるべき王道の勉強法 (好きになる、反復学習)
  • 勉強を習慣化し、日頃から頭を使う
  • 記憶術や暗記術といったテクニック (イメージ、右脳記憶法、連想、ごろ合わせなど)

記憶力を高める方法の一つめは、脳の機能自体をバージョンアップさせようというアプローチ。
つまり携帯やスマホのアプリやゲーム、パソコンのソフトなどを活用して、脳トレや脳活をすることによって、「脳の基礎体力」をつけ、パワーアップをはかろうとするわけです。無料でできる速読や速聴、音読なども有効です。

そのほか運動を習慣にして脳の血行をよくしたり、できるだけ脳にいい栄養素(マグネシウムやレシチン、カフェイン、タンパク質など)を摂るように心がけることも、この範ちゅうになります。咀嚼は、記憶の中枢である海馬を活性化させるので、これも有効です。

前頭葉のワーキングメモリの容量が大きくなり、海馬の顆粒細胞が増えて、そこからシータ波が発生すれば、脳力が全体的に高まります。そうなると当然、脳力の一部分である「記憶力」も高まるわけです。そのほか集中力や思考力、判断力、読解力、洞察力など、あらゆる脳の機能が全体的に向上していきます。

要は「受験勉強以外」の部分で、脳力の向上をはかっていこう、ということ。
スポーツにおいても基礎体力トレーニングだけで終わっては意味がないように、脳トレだけで終わってしまっては試験の合格は勝ち取れないので、そこだけは注意する必要があります。

記憶力を上げる2つめの方法として、日頃の学習で習慣化していくアプローチがあります。
たとえば復習を定期的に行なっていく、ということが挙げられます。エビングハウスの忘却曲線を意識した勉強方法ですね。人間は、たった1日で74%も忘れてしまうので、復習によってその忘却にストッパーを掛ければ、短期記憶を長期記憶にうまく誘導していくことが可能になります。
反復学習は、まさに勉強法の王道であり、もっとも辛い部分です。しかし、この方法こそ実は最高の記憶術であり、木の幹に相当します。記憶法のテクニックは枝葉であり、幹を補佐する役割になります。

よく頭を使うことで記憶力はUPする

また勉強によって、つねに頭脳を使っていれば、しぜんと記憶力は向上していきます。
脳は使えば使うほど、その機能が高まっていく器官だからです。その意味では、鍛えるほどに発達していく筋肉と似ています。海馬は脳の筋肉なのです。

脳細胞は減っていく一方で、増えていかないということが今まで定説でしたが、海馬の歯状回にある顆粒細胞という部分だけは、年齢を重ねても増えていくことが分かっています。

普段から勉強を習慣化している人は、しぜんと海馬の細胞が増えて大きくなります。その結果、しぜんと記憶力が高まるのです。逆に勉強の習慣がない人は、海馬をはじめとした脳の機能がどんどん衰えて、海馬が委縮して小さくなっていきます。そうすると、いくら表面的な「記憶術のテクニック」を使っても、すぐに限界がきてしまいます。付け焼刃だからです。ですから記憶力を高めるには、毎日のように頭を使っていればよいわけです。「勉強するほどに頭がよくなる」・・・これが勉強方法と記憶にかんする「正解」といえます。

さて三つめの方法は、多くの人が求めている記憶法や暗記法に当たります。これは、どちらかというとテクニックの部分であり、いかに効率よく覚えられるかを追求した手法といえるでしょう。「毎日の地味な復習は、できればやりたくない、それにかわる良い方法はないだろうか?」と皆さん、いろいろと探すわけですね。

イメージや連想、ごろ合わせといった「記憶術のテクニック部分」だけを取りだして、それだけを行なっても、もちろん十分な効果を期待できます。脳の特性にさからわない、効率的な記憶の仕方だからです。しかし、それだけに頼っていると、海馬の細胞が少なく、大きさも小さいので、すぐに限界がきてしまいます。

まずは脳の機能それ自体を高め、そのうえで日頃の復習をしっかり行い、しかも勉強を習慣化して海馬の細胞を増やす。そして最後に「記憶術のテクニック」を活用していくようにすれば、相乗効果で、最高に記憶力を高める方法となるのではないでしょうか。

記憶力をアップさせる秘訣・一覧

記憶の種類
記憶は、大きく分けて短期記憶と長期記憶とがあります。まずは短期記憶として脳内に入りますが、すぐに忘れてしまいます。もし印象が強かったり反復したりすると、「重要なもの」と判断され、海馬の長期記憶へと昇格します。また長期記憶は、頭で覚えるものと体で覚えるものの2つに分類できます。
記憶は薄れるものと心得よう!
人間の記憶は、だんだん忘れるようにできています。それがデフォルトの状態であり、健康的に生きていくうえでの戦略です。学問に王道なしといわれるのは、こういった条件のなかで身につけていく必要があるからです。メタ記憶の能力が高い人は、しぜんと復習という行動をとるため有利になります。
海馬からシータ(θ)波を発生させよう!
シータ波とは、記憶力と集中力、やる気が高まっているシグナル。シータ波が発生した状態で勉強すると、効率的に長期記憶化することができます。これこそ最高の記憶術です。シータ波を出すには、対象のものを好きになることが効果的。そのほか運動や場所の移動、居眠りによっても発生します。
右脳のイメージ記憶を活用しよう!
イメージを担当している右脳を活用すれば、今よりも簡単に細かい事項を記憶することができます。
語呂合わせも、その一つですが、もっとすぐれた「記憶力を高める方法」があります。それは概要理解を土台とする記憶法。基本から学ぶことが推奨されるのも、イメージを土台にできるからです。
エピソード(経験)記憶を活用しよう!
受験勉強というと無味乾燥な知識ばかりとなりがちですが、単なる知識は忘れやすく、引き出しにくいという特徴があります。しかし自分の経験に結びつけることで、勉強の知識は一気に長期記憶へと変換されます。間違えること、イメージすること、ごろ合わせも経験記憶の仲間です。
五感を記憶にフル活用しよう!
視覚だけではなく、聴覚や触覚という感覚も連動すれば、記憶として定着しやすくなります。目だけで読んでいると、本当に読めていない場合があります。そのような「勉強しているつもり」を防いだり、眠気を追い払ったり、メリハリをつける上でも五感を活用した勉強方法は有効です。
記憶を整理してみよう!
箇条書きなどによって「見える化」して整理することによって、脳内で混乱していた雑多な記憶はスッキリと、あるべき場所へと収納されます。できるだけ自分の言葉でまとめると、さらに効果的。図示したり、イラストを描いたり、苦手ノートを作成することも記憶の整理に役立ちます。
記憶を思い出す方法
試験やテスト中に無理に思い出そうとするほど、脳が緊張して、思い出せないということになります。
こういったときは、まずはリラックスすることに尽きます。そのほか、ふだんの勉強では、できるだけ連結して記憶したり、特異な状況を「わざと」つくり出すことによって、記憶を引き出しやすくなります。
朝の勉強効果とは?
朝早起きして勉強することには、いろいろなメリットがあります。朝は人生でいえば幼少期。子供の記憶力が抜群にいいように、どんどん暗記していくことができます。余計な経験が邪魔をしないからです。ただし睡眠不足になると、早朝の学習は「毒」に一変します。そこだけは気をつけましょう。

あとがき

ネットで記憶力を高める色や音楽、食べものに関して調べている人が多くいます。記憶力や集中力、思考力といったものは、ちょっとしたことで影響を受けますから、こういったことはバカになりません。それぞれは小さな要素であっても、相乗効果で大きな影響力を持つからです。色彩心理学では緑が集中しやすい色といいます。反対に気持ちを高ぶらせ、不安にさせる色は赤です。たしかに血の色や赤信号は、それによって危険を知らせようと警告を発しているわけで、理にかなっていますね。もしカーテンやカーペットの色が赤系統なら、青系統に替えてみると集中力がアップし、その結果、記憶力も高めることができるかもしれません。

記憶力を高める食事やサプリメントに関しては、本文で栄養素について少し触れました。ここでは食材をご紹介します。魚油として知られているDHAやEPAには頭をよくする作用があります。ということは脳力の一部分である記憶力を高める方法としても有効です。そのほかマグネシウムはナッツ類に多く含まれ、レシチンは納豆などの大豆製品に多く含まれています。コーヒーや緑茶に多いカフェインも、海馬の働きを高め、記憶力を上げる作用をもたらします。

記憶力アップにいい音楽やBGM、曲は、どちらかというと、それを聴くことによって、脳波がアルファ波となってリラックスするためではないでしょうか。本文で述べている一番目のタイプですね。同じことはウォーキングやジョギングなどの有酸素運動やストレッチ、入浴、アロマテラピー(アロマ)でも可能です。リラックスすれば脳波がアルファ波(α波)となるので、集中力の脳波であるシータ波に移行しやすくなるメリットがあります。

記憶力が悪いとか、記憶力がない、あるいは、なかなか記憶できないと悩んでいる人は、どこかに問題があります。その答えは本文にあるように、3つのタイプのうち、どれかです。一つだけに問題がある場合もあれば、すべてに該当するために記憶力が低下していることもあります。全体的に脳が働きづらいと感じている人は、脳トレによって脳を鍛えることから始めましょう。いろいろな方法がありますが、テレビを観すぎないことは効果的です。テレビを観る時間を減らすだけで、頭の回転がよくなってきます。そのほか読書をすれば、脳がトレーニングされます。

記憶力を高める方法は、1ページだけでは、とうてい書ききれません。記憶力をアップさせるには、トレーニング方法だけを見ていてもだめです。先ほど、テレビの観すぎは脳のとってよくないと述べました。これは認知するだけで、前頭前野での判断や行動指令が働いていないからです。

そのほかに注意すべきこととして、慢性的なストレスが挙げられます。ストレスをかけつづけると、コルチゾールが脳にフィードバックされ、このときに海馬に悪影響を与えます。あまりにコルチゾールが大量に押し寄せると、海馬が委縮し、小さくなってしまうといいます。海馬は記憶を制御している脳の部位。ここが小さくなってしまえば、当然、記憶力も下がってしまうわけです。ですから中学や高校受験、大学センター試験、あるいは各種資格試験、公務員試験では、ストレスをかけすぎないことが記憶力を維持するうえで、もっとも大切です。何かをすることよりも、まずは「危険なことをしない」ことが先決です。アルコールやタバコ(喫煙)も危険です。

本文の最初のリストにもありますが、勉強を楽しむことは記憶力をアップさせます。脳内にドーパミンが分泌されて、また勉強したくなるのです。セロトニンも関係しています。基本をしっかり身につけることによって、「勉強が面白い」という連鎖に入ります。好循環ですね。反対に基本をおろそかにして、先に進むことばかり考えていると、かならず行き詰るので、勉強がつまらなくなります。これがストレスになり、コルチゾールが分泌され、海馬を委縮させる危険があります。その結果、記憶力が低下することに。

記憶力を高める方法を一度、身につけてしまえば、数学、英語、社会科、理科、国語、あらゆる語学に活用できます。英単語に関しても、一度身につけるすべを知ってしまえば、ドイツ語やフランス語、イタリア語、中国語、韓国語などに適用できます。英単語を覚えるには、それだけを分離するのではなく、できるだけ面白い英文に組み込んで、それと一緒に覚えることが効果的です。このアプローチは、本文の3つの方法でいえば、最後のテクニックにあたります。この場合も、まずは脳活によって脳を活性化させ、日頃から復習を重視し、その上で右脳によるイメージ学習法を活用すれば、記憶力は最大化されます。

先ほど、記憶や暗記に関しては、このページで書ききれないと述べましたが、それは遺伝や年齢、うつ病などの病気、アルコール(お酒)、空腹、睡眠不足、生活環境、ストレス、脳年齢、性格、体質、記憶障害など、さまざまなことが原因としてかかわっているからです。PTSDの人では、コルチゾールが海馬を委縮させ、記憶力の減退が見られますが、たいていの人は、脳の機能や大きさに大差はないといわれています。当サイトで解説している記憶術やテクニックを活用して、第一志望校や希望の資格試験の突破に役立ててください。