右脳のイメージ記憶を活用しよう!

大脳には右脳と左脳があり、右脳はイメージや想像力、直観力、芸術的感性などを担当しています。それにたいして左脳は、論理的思考、計算、言語などに関係しています。受験勉強では、教科書や受験参考書を読む際に、論理的に考えたり言語に接することが多いので、どちらかというと左脳を多く使っているといえます。

左脳は受験勉強に必要なものですが、そればかりに頼っていると、なかなか記憶できなかったり、ストレスがたまりがちになります。それにたいして右脳は、イメージとして一瞬で記憶できたり、芸術などを鑑賞するときに活発になるので、リラックスできるという特徴があります。

もちろん右脳と左脳を明確に分けることはできません。
普段は脳梁(のうりょう)という部分で、連絡を取り合って働いているからです。「どちらに比重があるか」程度に考えていただければと思います。右脳人間とか左脳人間と、よく言われますが、実際には両方とも使われており、どちらをよく使う人間か、というニュアンスになります。

さて中学や高校受験、大学入試における勉強では、個々の事項を順序正しく、時系列に学ぶことも、もちろん重要です。しかし、ときには一目見て、一瞬で全体を理解するというアプローチも大切です。「百聞は一見にしかず」ですね。あれこれと論理的思考による説明を長時間、聞くよりは、一回見たほうが早いということ。

会社のプレゼンテーションでも、だらだらと言葉だけの説明を聴いているとウンザリしますが、スライドで、それに関連する写真やグラフをまず出してから説明を開始すれば、うんとわかりやすくなるものです。習い事や芸事でも、まずは、うまい人の動きを見ることが一番、説得力があります。見取り稽古という言葉もあります。
このページでも、本当は図やイラストを使って説明できればいいのですが・・・。しかし見出しをつけたり、適度に分けて文章の風通しをよくしたり、色を付けることによってイメージ化しやすいように工夫しています。

視覚イメージだけでは不十分

何かを話すときに、前置きがやたら長い人がいます。背景や、そこに至るまでの経緯を順序よく時系列に話すようなケースです。それよりは裁判の判決のように、まずは結論を話す。そのほうが、一瞬でイメージがわくものです

学習でいうなら、まずは大雑把にでも概要をつかむ。基本を学ぶ。それでこそ全体のイメージをつかめます。そうではなく、いきなり年号や人名、事件名を覚えようとすると、全体のイメージがわかないので、左脳記憶となり、かえって覚えづらくなるのです。「早く覚えよう」と焦りすぎるのです。このような勉強方法が通用するのは、小学生までです。

このように右脳のイメージ記憶といっても、写真やイラストのような「視覚的イメージ」だけを言うのではありません。人が話す言葉や、教科書の文章からも、「だいたいの概要」や「言わんとしていること」を脳内でイメージできるわけです。画像やイラストは、「すでに完成しているイメージ」を提供してくれるだけに、それを見た人の右脳は、それに頼って逆に怠けてしまい、右脳によるイメージが働きづらくなる可能性があります。

スライドとか映画、画像は、ともすればイメージには欠かせない「武器」のように思えます。
しかし、これは盲点です。たとえば教科書に、まったく文字が掲載されておらず、全ページ写真だけだったらどうでしょうか?イメージがわくでしょうか?歴史の教科書だったら、歴史を知らない人の場合、「ああ、どこかの武将同士が戦っている」くらいの情報しか入ってこないに違いありません。

つまり画像や写真はイメージ化を助けるものですが、それに「言葉」を添えてこそ、初めて写真などが意味をなしてくるわけです。もし言葉による補助的説明がないと、百人百様、さまざまな解釈が生じてしまうことに・・・。ですから右脳によるイメージ記憶を活用していく場合は、人の話であれ文章であれ、「言語」という補助があってこそ意味をなしてくるということです。もし画像やイラストだけでは、たんなる芸術的な鑑賞です。
それでは「学習」になりません。右脳+左脳こそが、本当のイメージ記憶術というわけです。

語呂合わせも、年号や事件という「数字や言葉」を「奇抜なイメージ」と結びつけるので、右脳のイメージ記憶術の一種といえます。ただ、ごろ合わせだと、活用の場面が限られるうえに、いつでも最適なものを作れるわけではないので、ここでは、それ以外のイメージ記憶法をご紹介していきます。

まず全体の概要をつかむ

受験の勉強法においては、まずは基本から、概要理解から・・・これが鉄則です。そのほうが右脳のイメージ記憶ができるので、効率的な学習になります。左脳による言語というものは、言ってみれば、右脳的なイメージを脳内に作り上げるまでの「橋渡し」です。イメージを作れない勉強では、使い物になりません。それでは「わかったつもり」ということであり、目的地に着くまえに、すでに到着したと勘違いしている状態です。

文章を読み始めるだけで、すぐに言葉をイメージ化できるものは、たとえば物語文や小説、エッセイです。
こういった読書では、言葉からイメージしなければならないので、言葉とイメージが直結しているような感じです。ですから小説をよく読む人は、右脳のイメージ力が鍛えられ、想像力が豊かになります。

しかし受験勉強の内容は、言葉とイメージが直結していることは少ないものです。もちろん、なかには日本史や世界史、現代文、古文などのように、イメージ化しやすい教科もあります。しかし大半は、左脳的な言葉だけが羅列されていて、たとえ図があったとしても、なかなか右脳によるイメージ化に結びつかないのではないでしょうか。公務員試験や看護師、弁護士、司法書士、一級建築士、ファイナンシャルプランナーなどの参考書や過去問を見ると、難解な文章が並んでいるものです。

いってみれば受験勉強をするということは、「左脳的な文章」という密林に分け入り、最終的に「右脳によるイメージ形成」という”お宝”を発見するために出かける冒険のようなものです。当サイトでは、このように、いろいろな比喩をあげていますが、これも右脳によるイメージ学習が効果的と知っているからです。

難解な文章が多い教科や資格試験の勉強では、まずは大きくとらえる、つまり概要や基本から理解していくことが唯一、右脳のイメージ記憶を活用できる方法となります。そのためには、最初のうちは細かい部分には「あえて」目をつぶる。専門用語も無視する。しかも、できるだけ速読する。このようにして、まずはザッとでもいいので、1冊を読み切ってしまうことです。そのあとも、同じように何回か、読み返すことです。そのためには、分厚い参考書よりも、薄っぺらい入門書から入るといいかもしれません。

全体の地図の入手→詳細の記憶という流れ

イメージが湧きづらい教科や資格試験の場合、時間をかけて、だんだんと脳内に、おぼろげながらでも全体の構成というか、概要のイメージが形成されていきます。これはパズルゲームにおける、パズルボードです。まずは完成図を見てから、ピースを置いていきますよね?完成形を知らずに、細かいことをいきなり記憶していこうという人が多すぎるのです。

そのいっぽうで、イメージが湧きやすい教科や資格試験もあります。
日本史や世界史だったり、英文だったり、あるいは地理や生物学、医学などです。

歴史だったら、まずは背景や流れを理解する。そうしてこそ、年号や人名をしぜんと記憶できます。
語呂合わせも悪くはありませんが、作るまでに手間がかかりすぎるうえ、全体から分離しているので、あまり使える知識とはなりません。「試験のためだけの知識」という範ちゅうを出ないのです。応用がきかない記憶です。

さらに英語だったら、まずは英語の長文を味わい、イメージすることを、まずは心がける。そうすると、英文法も英単語も構文、熟語、連語も、すべて簡単に記憶できるのです。もし英単語だけを切り離すとしても、せめて「イメージがわきやすい一文」といっしょに覚えるべきです。いかなる場合でも、イメージという土壌のうえに、個々の記憶を積み上げるということです。

もっともやってはいけないのは、英単語と意味だけをカードに書いて覚えるやり方。これでは左脳ばかりで、右脳を使っていないので使える知識にはなりません。イメージから分離されているからです。

地理を学ぶなら、日本地図や世界地図を何度も見て、まずはそのイメージを脳内に焼き付けると、そのあとが楽に進みます。脳内の地図のイメージと、個々の知識を連結できるからです。これは世界情勢の学習でも同様です。

また生物学や医学、看護師の勉強でも、人体の仕組みを「解剖学的に」イメージできるようになると、脳内にある人体の映像に結びつけて、個々の疾患や治療法、ケアなどを学習できるようになります。たとえば脳内に、すぐに臓器の「位置」や「形」が地図のように浮かぶようになれば、腎臓や肝臓、膵臓などに関する”無味乾燥な左脳的な知識”を学ぶさいでも、しぜんとイメージと連結され、右脳をつかった記憶になるわけです。

ただ、歴史や地理、生物学とは異なり、どうしても難解で、イメージが湧きづらい科目や資格試験もあります。そういったときは、まずは概略をつかんだり、基本をマスターすることでしか全体の地図を手に入れることはできません。そのために、まずは概要理解が大切になってくるのです。

孤立した知識では使い物にならない

まずはじめに全体の概要を理解する。そうしてこそ、そのあとに細かい部分が自然と吸収され、記憶されていきます。乾いたスポンジが、水を吸っていくように・・・。その反対に、いきなり細かいことを覚えようとしても、すぐに忘れてしまいます。また、中間・期末テスト、あるいは模試などでも、なかなか頭から出てこなかったりします。それは脳内でのつながりが希薄であり、離れ小島状態だからです。

ところが、概要理解という豊饒な大地に根ざすことができれば、その土台の上に細かい事項を記憶できます。そうなると、つねに「大地にしっかりと根を張る植物」のように、脳内で孤立しない長期記憶となります。しかも大脳という大地から、いつでも水分と栄養をくみ上げることができるので、さび付きにくく、しかも思い出しやすい記憶になるのです。テストや試験が終わったら忘れてしまう記憶とは無縁です。

たとえば歴史の流れを、いったん理解した人は、しばらく勉強しなくても、その流れ自体を忘れるようなことは、あまりないですよね?そのイメージの部分がしっかりと脳内にあるかぎり、それに付随した個々の記憶も忘れにくい記憶となるのです。また、長く使わなかったために細かい部分の記憶が薄れてきたとしても、概要をざっと復習するだけで、連鎖反応的に明瞭な記憶を取り戻せるものです。イメージという忘れにくい土台のうえに構築した、個々の記憶だからです。

このように右脳による本当のイメージ記憶とは、「概要理解というイメージ」を土台にすることにあります。
語呂合わせのように、部分的に取りだして活用するという方法もありますが、それでは本当のイメージ記憶法とはいえません。右脳的なイメージを土台として、左脳的な個々の知識を構築していくことこそが、最高の勉強方法であり記憶法なのです。