受験生の勉強時間の正解は?

これから中学受験や高校受験、そして大学進学を目指そうという人は、「ほかの人は一体、どれだけ勉強しているんだろうか?」と気になるところです。平日はどんなスケジュールだろう?日曜日などの休日は?放課後は?夏休みは?冬休みは?平均は?といったような具合ですね。

そのためネットをつかって、中学受験生や高校受験生の勉強時間の平均値を調べてみたくなるわけです。
でも、じつはこれはナンセンスです。結論からいうと、東大や早稲田、慶応、上智、中央、一橋、同志社大学、あるいは第一志望校に合格するかどうかは、時間の長さだけでは決まりません。極端にいえば、たとえ1日3時間の勉強であっても、難関大学に合格する人は合格するわけです。実際に、そういう人は存在します。

受験生の勉強時間が気になる人は、学習時間を伸ばしさえすれば、それだけで合格する実力がつくと「錯覚」しています。でも、たとえ勉強時間を5時間とか6時間、あるいは8時間とかに伸ばしても、「早く終わらないかな・・・」とか考えながらの試験勉強では、とても質が低くなります。過去問を解いているときでも、問題を考えているようでいて、じつは別のことをいろいろ考えていたりします。

受験生の勉強時間は、人それぞれであり、できるだけ少なく圧縮していくように心がけることが正解です。
いたずらに時間を延長することは、たんなる自己満足だけの場合があります(もちろん、すべてがそうではありませんが・・・)。つまり、時間を伸ばす場合でも、最大限の質に高めた状態で、伸ばすべきということです。

受験勉強の時間を伸ばすと、今度は質が低下するというように、時間と質は「反比例」の関係になりがちです。ですから、まずは勉強時間をできるだけ少なくして、質を高めるように心がける。そのほうが勉強も早く終わりますし、そうなれば空いた時間に、部活とか趣味を存分に楽しんだりといったことが可能になります。これが受験期間中のストレス解消となります。趣味や遊びで新たな活力を得て、勉強のモチベーションを維持していくという好循環に入ります。

勉強時間を伸ばしていく場合でも、まずは質を高める方法を身に着けてからにしましょう。最初から質も時間も、両方とも得ようとすることは困難です。ですから「質→量」という順序で、ツーステップで行くのです。

インプットは短く、アウトプットは長めに

受験生の勉強時間は、勉強内容によっても異なってきます。
基本的に、教科書やテキストを読んだり、英単語を暗記したり、書き取りをしたりといったように「脳にインプット」することが多い教科のときは、短時間で済ませるようにします。冒頭で書いたことは、おもにインプットの勉強方法ですね。

なぜ短く区切るのかというと、教科書をだらだらと長時間読んでいても、内容が頭に入ってこないことがあるからです。人は、時間制限を決めて取り組んだほうが、扁桃体という部分が活性化します。そうすると記憶を管理している海馬という部分が刺激され、記憶力が高まります。その信号は、前頭葉に送られて集中力も高まるのです。反対に、いくらでも時間があると思って勉強すると、集中力が低下するので、記憶力も低下することになり、覚えたいものも頭に入ってこなくなります。

以上のような理由から、何かを吸収しようというときは、短時間でサッと勉強したほうがよいのです。
その意味では、通勤・通学時の電車のなかとか、歩いているときなどに学習するのは最適といえますね。
細切れ時間を利用して勉強したほうが、適度な緊張感を感じることができ、それだけ集中力・記憶力が高まります。

ですから、受験生の勉強時間が1日3時間だとしても、30分ずつ区切って、6ラウンド行うといったスケジュールがいいですね。1回の勉強時間は、15分でも20分でもOKです。このへんは、自分のやりやすい方法で決めましょう。また当然、教科によって適した長さが違ってきます。記憶事項が多い科目は短めにし、論理的思考が多い教科は時間を多めにする、といった感じですね。

さて以上はインプットの場合ですが、アウトプットの場合は違ってきます。数学など、問題を解くことが多い教科の場合は、こちらになります。アウトプットの場合は、じっくり時間をかけて勉強することもOKだと思います。たとえば過去問を解いているとき。インプットしたことを脳から引き出そうとしているわけで、おのずと集中力がアップします。そのため、とくに時間制限でプレッシャーをかけなくても、集中力は維持できるのです。

また過去問や問題集を解くときに、長めの時間を取る理由は、集中力の「持久力」、「粘り」を養成するためでもあります。質の高い状態を維持していくには、問題を解いている時間帯が最適です。これをインプットのときにやってしまうと、集中力と記憶力が低下するだけで、結局は自分の脳に入ってこないという結果になります。

高校入試でも大学センター試験でも、あるいは社会人のかたが目指す資格試験にしても、集中力の持続、粘りが必要となります。試験時間中は、どうしても中間地点で「中だるみ」が生じがちになります。そういったとき、ふだんから自宅で、長時間の過去問学習に取り組んでいたかどうかで、集中力が持続できるかどうかが決まってきます。

睡眠時間にも気を配ろう

受験生の勉強時間ばかりが注目されがちですが、同時に睡眠時間にも気を配るべきです。
勉強時間を長くすることのデメリットとして、どうしても夜更かししてしまいがちになり、睡眠時間が圧迫されるという点があります。勉強時間を圧縮し、質を高めることは、十分な睡眠時間を確保することにつながっていきます。

睡眠不足になってしまうと、いくら1日10時間とか勉強しても、それらが脳にインプットできない可能性があります。なぜなら人は、寝ている間に勉強したことの整理整頓と、記憶の定着作業を行なっているからです。

勉強したことを、しっかりと脳にインプットし、長期記憶化するためには、最低でも6時間は寝ないといけないといわれています。あなたは、きっちりと眠れていますか?

睡眠に入ると、最初の3時間で、成長ホルモンが脳下垂体から分泌されます。この働きとして、筋肉や骨の成長、肌の修復、免疫力の増強などがあります。もし浅い眠りだと、成長ホルモンが分泌されないので、成長期の学生にとっては致命的です。あまり身長が伸びず、筋肉もつくられず、肌も荒れてしまう。

そうならないためにも、受験生の勉強時間はできるだけ圧縮し、十分な睡眠時間を取るべきだといえます。
とくに、これから心身が発達していく中学生や高校生は気をつけましょう。