記憶力を強化するトレーニングとは?

記憶力を強化するには、どうしたらいいのでしょうか?いい方法やトレーニングはあるのでしょうか?
よく頭がよくなる食べ物、飲み物とか、聞くだけで頭の回転が速くなる音楽(曲、BGM)などを見かけますが、そのような「都合のいいもの」はありません。

記憶力を高めるためには、「記憶」や「暗記」といったものの特性を理解することが出発点です。
まず暗記作業は脳で行われますから、記憶力を向上させるには、いかにして脳の性能をアップさせられるか、にかかっています。具体的には、脳の血流がよくなり、頭の回転が速くなり、集中力が高まれば、それに連動するようにして記憶力はアップしていきます。

たとえば筋トレや有酸素運動によって脳の血行がよくなれば、脳の働きもアップします。
すると記憶力もよくなる
わけです。またテレビを観ながら、だらだらと教科書を読むよりは、勉強机の前で「制限時間をもうけて」学習すれば、集中力がアップします。そうすると集中力に比例して、記憶力も高まることになります。

以上は、脳の働きを全体的に高めたり、あるいは脳の働きの一部(集中力など)を高めることによって、記憶力を強化していく方法になります。つまり2ステップで記憶力を上げるやり方になります。
つぎに記憶力それ自体を、さらに高精度に強化するトレーニングについて考えてみたいと思います。

記憶力強化のカギは、大脳辺縁系が握っている

大脳辺縁系ってご存じですか?
辺縁系という名からもわかるように、大脳の奥まった場所(つまり辺鄙な場所)にある脳のことです。また、脳幹の「周辺」を覆っているという解釈もできます。いずれにしても、脳の中央付近に存在するわけです。

この大脳辺縁系は、大きくわけると2つの部位からなっています。
扁桃体海馬です。この2つは、生きるために必要となる本能や、それにまつわる記憶を司っている部分です。扁桃体は喜怒哀楽の感情を支配し、感情的になっているときは、この部位が興奮しています。また重要な岐路に立たされたときの判断は、この扁桃体による「好き嫌い」の感情によって選別しています。

ようするに理性ではなく、感情なわけです。たとえばショッピングをしているとき、ものを購入するときは、扁桃体に血流が集まっています。

海馬は扁桃体のすぐそばに位置し、記憶の一時保管庫の役割を果たしています。
人は外界からの情報を、まずは視覚野や聴覚野などの「担当部署」で処理し、その後、前頭連合野に送られ統合されます。このときワーキングメモリという簡易記憶を通過し、その後、反復作業などによって海馬へと送られます。

記憶力が高い人は、じつは海馬の神経細胞の数が多く、海馬の見た目も大きいといわれています。
ロンドンのパリのタクシー運転手は、複雑な路地を暗記しなければならない必要性から、通常の人と比べて大きな海馬を持っているといわれています。それだけ記憶力が抜群ということです。このように日ごろから「何かを覚えよう」と努力している人ほど、海馬が大きく、記憶力が高いことが知られています。

ですから記憶力を強化するトレーニングは何か?と問われれば、それは速読術とか速聴とか、そういった難しいものではなく、日常のなかで何かを暗記する作業を習慣づけることだ、といえるわけです。普段から高校受験や大学受験の勉強にいそしんでいれば、しぜんと記憶しようと努力しているので、海馬が大きくなっていると考えられます。

英単語の暗記も、「今、海馬を大きくするトレーニングをしているのだ」と自覚できれば、楽しくなるのではないでしょうか。実際に大きくしているわけですし。そして海馬が大きく成長すれば、それほど繰り返さなくても、少ない回数で長期記憶にすることができるようになっていきます。

記憶力を強める、もう一つの方法

記憶力を強化するトレーニングとしては、ふだんから「覚えよう」とすることが大事だと述べました。
つまり、今すぐ記憶力が高まるわけではないけれど、努力を継続していけば、いずれは記憶力が抜群になっていく、ということですね。前述したロンドンのタクシー運転手のように。

でも、一朝一夕にはいきませんから、大学センター試験や難関の資格試験に挑戦しようという人は、記憶力が高まる前に試験当日が来てしまいます。それでは本末転倒です。覚えようと努力して、海馬を大きくする作戦は、それ自体、長期目線でのトレーニング(訓練)としては有効ですが、それとは別の「即効性のあるテクニック」も用いないといけません。それこそ扁桃体を活用した記憶術です。

扁桃体は感情を司っています。そして、すぐそばに位置している海馬に影響を与え、覚えやすくしてくれます。過去の経験を思い出してみてください。うれしいこと、悲しいこと、辛いこと、腹の立つこと、面白いこと・・・そういった「感情」がともった記憶が、ずっと心に残っているのではないでしょうか。逆に感情が伴わない経験は、忘れやすくなります。これが、「つまらない勉強内容」が記憶に残りづらい理由です。

ですから、普段の学習でも、できるだけ「勉強を面白くする工夫」が有効となります。
英語だったら、好きな洋画を字幕なしで観てみたり、洋楽を取り入れてみたり・・・。歴史だったら、大河ドラマを楽しんでみたり・・・。歴史の小説や漫画を楽しむのも面白そうです。これらは「楽しんでいる」ので扁桃体が刺激されています。その結果、海馬でLTP(長期増強)が起こりやすくなり、記憶に残りやすくなるのです。

もっといえば扁桃体を刺激しさえすればいいのですから、別に勉強に面白みを感じる必要はありません。
何かを暗記しようというときは、できるだけイメージ化することで、扁桃体が刺激されます。イメージとは、あたかも自分が体験しているようなもの、つまり疑似体験です。

右脳記憶法とか右脳勉強法とか人気がありますが、右脳を活性化させて、それを活用した学習をすると、潜在意識部分の扁桃体に直結していくといわれています。イメージ化がむずかしければ、できるだけ「関連付け」て覚えるようにすると、脳内で連合や精緻化がなされ、イメージに近いものとなります。

また時間制限を設けて覚えることも有効です。
暗記作業でやってはいけないのは、だらだらと長時間つづけることです。これでは扁桃体が刺激されません。しかし短時間限定で覚えようとすると、扁桃体が「適度な緊張感」を覚えます。時間制限があると、集中力がアップします。すると、それに連動するようにして記憶力も強化されるのです。

また行きたい高校や大学のことを、つねに考えることも有効です。
第一志望校の構内のようすをネットで調べて、youtubeなどでも観てみる。そうすると入学するのが楽しみになり、扁桃体が刺激されます。その結果、ふだんの学習において、しぜんと記憶力が強化されていきます。