資格の勉強の仕方とは?

資格の勉強は、中学や高校受験、大学受験とは少し趣が異なります。
なぜならサラリーマンやOLといった社会人の場合、「仕事を頑張りながら」資格試験を目指すことが多いからです。

学生にくらべて限られた勉強時間しか取れない社会人が、資格の勉強をするには、脳科学で解明されている効果的な勉強方法を、最大限活用するしかありません。いまはマインドマップ記憶術などがはやっていますが、そういった「奇抜な方法」ではなく、「もっと基本的でオーソドックスな勉強のやり方」を工夫することがポイントになります。

公務員を目指している人もいるでしょうし、不動産鑑定士や弁護士、弁理士、税理士、社会保険労務士(社労士)、一級建築士、簿記2級・3級、ITパスポート、ファイナンシャルプランナーなどを目指している人もいることでしょう。もちろん、複数を同時に受験するのではなく、一つに的を絞って受験勉強をしていくわけです。

ただ、一つの資格取得を達成すれば、そこで得た勉強法のノウハウは、ほかの資格試験の勉強に応用できます。世の中には、「どうして、そんなにたくさんの資格を持っているの?」というほど、ものすごい数の資格がある人がいますが、最初に一つを突破してしまえば、けっして難しいことではありません。

難関の国家試験であれ、もう少し敷居が低い検定試験であれ、資格の勉強というと、孤独がつきものになります。つねに自分自身と向き合わなければなりません。そこで、もっとも大事になるものは、自己管理能力です。まず最初に、しっかりと受験計画を立てる。そして誘惑をしりぞけ、毎日、淡々と計画どおりにノルマをこなしていく・・・。言葉に書けばかんたんですが、実際にやるとなると、脳科学や心理学の知見を取り入れなければ、なかなか難しいものです。細かい部分にかんしては、勉強法の基本を参考にしてくださいね。

どのようにモチベーションを維持していくか?

資格試験の勉強法においては、勉強のやる気やモチベーションといったものが、最大の課題になります。
ここをクリアできさえすれば、受験勉強期間中は、なんとかノルマをこなしていけるからです。

中学生や高校生が受験勉強する場合は、進学塾や予備校にかよえば、先生や仲間がいます。それにたいして社会人が資格を取ろうとする場合は、書店で買ってきた参考書や過去問をひたすら学習するというスタイルが一般的です。もちろん資格のための予備校もありますが、働きながらだと、なかなか難しいものがあります。

社会人が資格試験の勉強をする時間帯は、朝、移動時、帰宅後の3つです。
まず朝ですが、朝勉をするためには、前日の夜に早めに寝ることが大前提です。そうしないと寝不足になってしまい、記憶の定着に問題が出てくるためです。

朝に勉強するなら、前日は早めに寝る。もしも夜に勉強するなら、朝の勉強はやらない。・・・このように、どちらかを取る必要があるわけです。朝の時間帯は、記憶が整理された直後のため、覚えたいことがすんなり入ってきます。また、早朝に勉強することには、爽快感があります。1日のはじめに、その日のノルマの何割かを終えるわけですから、心理的に、かなりの余裕もできます。ここでエンジンをかけておくことによって、通勤時間も、しぜんと勉強のモチベーションを維持していくことができます。

朝の勉強時間は、それほど多くの時間をとれるわけではありません。
せいぜい1時間前後ではないでしょうか。その限られた時間内にノルマを達成しようとすると、かなり集中力が高まり、質の高い学習内容になります。そのため速読力や記憶力を高めるトレーニングにもなります。また覚えたことも、どんどん頭に入っていきます。

朝は時間制限あるため、不本意なところでストップすることが多くなると思います。
じつは、これが学習のやる気を維持していくために不可欠なのです。ふつうは、ノルマを終えた時点で勉強を切り上げるものです。しかし朝は時間が限られているので、内容よりも時間のほうで区切らなければなりません。そうなると、すっきりしない感じがしますが、切り上げた後も勉強内容を気に掛けるので、記憶にとどまりやすくなります。

顕在意識であるワーキングメモリでは勉強内容を忘れてしまっても、潜在意識である海馬や扁桃体は、ずっと考え続けているわけです。通勤中に、座席に座って眠っていたとしても、脳の中ではフル回転しています。しかも眠ることで、朝に勉強したことが整理整頓されます。ですから朝の勉強をしたあとは、電車のなかで、できれば眠ってしまったほうがいいかもしれませんね。へたに通勤中に勉強するよりも、脳を休ませてしまうわけです。

このように、資格の勉強だからといって、何でもかんでも細切れ時間を活用すればいいのかというと、そうでもないわけです。早朝学習をした人は、通勤中は、堂々と居眠りをしてしまいましょう。ただ、朝の勉強をしなかった人は、通勤中は勉強のチャンスです。ここを有効活用できるかどうかが、試験の合格の明暗を分けます。

通勤時間の、資格の勉強法

電車通勤の場合は、できるだけ座席に座らずに、吊革につかまりながら資格の勉強をすることをオススメします。なぜなら立っていたほうが、足の筋肉をつかいます。すると座っているよりも全身の血行がよくなります。当然、脳への血流も促進されるため、思考力や記憶力がアップするわけです。眠気を追い払える効果もあります。

またバランスの悪いところで勉強する、ということにも意味があります。
バランスのよい椅子に座るよりも、バランスが悪いところに立っているほうが、不安感が出てくるものです。
そうすると大脳辺縁系にある扁桃体という部分が、「適度に」活性化します。ここは過度に緊張するといけませんが、適度に刺激されるぶんには、勉強の質を高めてくれます。その意味では、部屋のなかよりも、こういった電車のなかのほうが集中力は高まりやすいのです。

扁桃体の活動が高まると、すぐそばにある海馬が活性化します。海馬は記憶をとどめておく管理棟。
扁桃体が活性化すると、海馬からシータ波という、記憶力の指標が出現します。記憶力が高まっている証拠です。そうなると海馬でLTP、つまり長期増強が起こりやすくなります。LTPというと難しく聞こえますが、要は一度変化した脳の神経線維が、そのままの形で長期的に保持されるということです。シータ波が海馬から発生すると、「長期記憶」になりやすいということですね。

人は、ともすれば勉強するとき、周囲からの刺激を取り除こうとします。「無菌状態」にしようとします。
しかし、それは逆効果なわけです。しーんとした環境では、かえって集中しづらいことがあります。その反対に、ちょっと肌寒いとか、ちょっと空腹感があるほうが、扁桃体が刺激されて、海馬からシータ波が発生しやすくなります。

通勤時も、ゆったりとした座席に座るのではなくて、バランスの取りづらい吊革につかまりながら立っていたほうが、扁桃体が「適度に」刺激されます。これこそが社会人が通勤時間を、資格の勉強に有効活用するためのポイントになります。

夜の勉強法

以上のように、朝はやく起きて勉強するか、通勤時を有効活用するかの、どちらかを選択する。
そのうえで夜は、軽めに、補足的に資格の勉強を行なってはいかがでしょうか。

帰宅後の時間は、朝や通勤時に学習した内容を、復習する時間にあてると効果的です。
また夜は、過去問を解くと効果的です。朝は、まだ頭がボーッとしているので、過去問を解くには適していませんし、通勤中も受験参考書やノートを広げて書いたりするわけにはいきません。

そこで、落ち着いて机の前に向かえる帰宅後の時間が、問題集を解くのには向いているのです。
夜は、その日の復習を軽く行うともに、ひたすら問題を解いていきましょう。

新しいことを学ぶのは、朝か通勤時、復習するのは夜と決めておけば、「復習のし忘れ」を防止できます。
夜中に勉強したほうがはかどる、という人もいるかもしれませんが、夜はできるだけ軽くすませ、早めに寝ることをオススメします。最低でも6時間は寝ることが、長期記憶として脳に定着させるためには不可欠といわれているからです。

もしも、よっぽど時間が足りないという人は、速読術を習得して、「受験勉強をショートカット」するのもいいかもしれませんね。

あとがき

ネットでは資格の勉強時間を2chで調べてみたり、ノートの取り方や、参考書の選び方を知りたいといったかたがいます。それらは調べれば、すぐに回答が得られるようになってきています。しかし平均的な資格の勉強時間を知ったからといって、また、その時間どおり学習したからといって、試験に合格できるわけではありません。質がともなっていないと、いくら3時間や5時間勉強しようと、身につくはずはないわけです。

資格にもいろいろあります。なかにはソムリエとかネイリスト、カラーコーディネーター、インテリアコーディネーターなんかもあります。有名なところではCAD、警察官、消防士、医師、看護師、医療事務、高圧ガス、マイクロソフト認定資格、マンション管理士・管理業務主任者、衛生管理者、中小企業診断士、土地家屋調査士、社会福祉士、介護福祉士、電験三種、調理師、販売士、秘書検定、危険物取扱者などなど、数多くの資格試験があります。それぞれに特徴がありますが、勉強の進め方に関しては、それほど違うわけではありません。計画を立て、評判の高い参考書を入手し、あとは日々勉強していくだけです。

その場合、忘れてはならないのは、インプットとアウトプットを交互に行っていく、ということです。この2つを同時に進めることによって、シナジー(相乗)効果が得られるからです。テキストを読むだけだったり、ひたすら過去問を解くだけだったりと、どちらかに偏ってしまうと、大変な寄り道をすることになります。

最近ではパソコンのソフト、そして携帯電話やスマートフォン(スマホ)のアプリにも、なかなかおもしろいものがあります。しかし、やはり基本となるのは、アナログのテキストと過去問の2つです。時代はデジタル化の方向に進んでいますが、どこまでいってもアナログが基本になるといえるでしょう。また本のほうが、ぺらぺらめくりながら復習や内容の確認が瞬時にできるので便利です。