資格の勉強は何時間がいい?

資格試験を受けようとすると、まず気になることは、「ほかの受験生は何時間くらい勉強するのだろう?」ということです。周りのみんなが5時間や7時間も学習しているのに、自分だけ1日2時間とか3時間だけだと、不安になるものです。そのため、ネットをつかって2chや掲示板などを調べるわけです。

しかし資格の勉強時間の平均値や目安は、それほど当てにはなりません。
人と比較しても仕方ないのです。なぜなら人それぞれで、頭の回転(IQ)や集中力、記憶力、理解力などに差があるからです。また、もともと持っている学力、つまり中学や高校で積み重ねてきた知識量や、日常生活を送るなかで蓄積してきた経験値も異なっています。たんに資格試験の勉強時間が長ければいいとか、短いから悪いとか、そう単純なものでもないわけですね。

資格試験には公務員や司法書士、弁護士、行政書士、一級建築士など、さまざまあります。
医師や看護師も資格の一種です。難易度の高い試験であるほど、ほかの人たちも頑張っているので、生半可な気持ちで受験しても合格はおぼつきません。たしかに、その考えは間違っていません。

ただし、だからといって学習時間を伸ばしても、それは試験の合格には直結しません。
要は、資格試験を突破できるだけの基礎知識と応用力を身につけることこそが肝心であり、試験当日に、持てる力を余すところなく発揮できるかどうかがポイントになるわけです。

この2つを達成できさえすれば、たとえ1日1時間でも2時間でも、勉強時間としては十分、というのが答えになります。

働きながら資格取得する秘訣

1日中、自由に過ごせる人ならいいですが、多くの人は、何かしらの仕事をしながら、並行して資格の勉強に励むことと思います。そうなると、そもそもが長時間の勉強はできないわけです。どうしても少ない学習時間を有効につかっていくしかありません。その対策法は2つあります。

  • 細切れ時間を大切にする
  • 速読法をマスターする

資格試験の勉強時間を多く取れない以上、上記のいずれかを選択するしかありません。
もちろん両方とも選択すれば、よりいっそう勉強の質が高まり、学習が加速していくことでしょう。

まず社会人(サラリーマンやOL)なら、電車やマイカーなどの移動時間があるものです。そういった時間を集積させれば、かなりの時間になるはずです。歩いている時間だって、勉強に使えたりします。少ない時間しか取れない社会人が、資格試験に挑んでいくには、このような細切れ時間を活用するしか手はありません。

細切れの時間に勉強することは、脳科学的に見ても、多くのメリットがあります。

  • たいてい動いているので、記憶しやすい
  • 制限時間があることで、集中力と記憶力が増す
  • 中途半端に終わるので、記憶に残りやすく、次回のやる気につながる

すき間時間に勉強することのメリット

すき間時間に勉強することは、机の前にじっと座って学習することとは違って、たいてい立っているか体を動かしています。電車のなかや、バスの待ち時間、歩いているときなどですね。人は立っているだけでも、足の筋肉を使うので、椅子に座っている状態と比べて全身の血行がよくなります。体の血流がよくなれば、脳の血行もよくなります。これが記憶力や理解力をアップさせるのです。

一番おすすめの勉強方法は、歩きながらです。
有酸素運動をしているときが、もっとも脳の血流が促進されているからです。歩きながら英単語を暗記すると、記憶にとどまりやすくなります。何か覚えにくいことがあれば、紙切れにでも書いておいて、歩きながら覚えればよいのです。記憶を司っている海馬には、「場所細胞」という部分があります。ここは場所を移動することによって活性化するので、動きながら勉強したほうが記憶力が高まるわけです。

また、すき間時間に資格の勉強をすると、どうしても短時間限定という意識で学習することになります。
これが感情の中枢である扁桃体を刺激し、集中力と記憶力を最大まで高めることになります。制限時間をもうけると、ふだんよりも集中力が増すことは分かると思います。そのような「いい意味での緊張感」をつねに味わえるのが、細切れ時間のメリットです。

すき間時間を資格試験の勉強に活用すると、ほとんどが不本意な箇所で終了することになります。
そうすると、すっきりした箇所で終わるよりも、記憶に残りやすくなります。ぴたっと終わると、「もう終了した」と安心してしまい、頭の中に勉強内容が残らなくなり、別のことを考えます。

ところが中途半端なところで終わってしまうと、いつまでも内容が脳内に残ることになり、それが記憶の定着に欠かせない「反復」「復習」の役割を果たしてくれます。中途半端に終わると、たとえ意識していなくても、無意識レベルでは確実に気にし続けています。

また中途半端に終了すると、次の勉強のやる気につながっていきます。
すっきりしたところで終わると、次の学習時には、また一からエンジンをかけるのに苦労します。ところが不本意なところで終わった場合、早く心の不安定さを取り戻したいという意識が働き、スムーズに資格試験の勉強に入っていけるのです。

ちょうど、いいところでテレビ番組が中断されると、その続きを観たいがために、ついついCMを観てしまうようなものです。つまり細切れ時間を活用すれば、試験勉強のモチベーションの維持には悩まなくなるわけです。

あとがき

資格試験の勉強時間をあまり捻出できない社会人は、本文で述べたように、細かい時間を集めれば、かなりの学習時間となります。なかには移動時間くらい、ゆっくりしたい、くつろぎたいという方もいるかもしれません。そういった場合は、仕事が終わって自宅に帰ってから、集中的に勉強することをお勧めします。

ただ、その場合も短時間を心がけて、扁桃体を興奮させれば、質の高い勉強が可能となります。コツは睡眠時間を圧迫しないことです。学習時間を延長すれば、たしかに勉強時間は取れます。しかし睡眠不足を招くことになり、やがては自分にかえってきます。知識というものは、ぐっすりと眠っているときに脳内で整理され、長期記憶として身についていくのです。

また睡眠時間を後退させず、いつも早めに寝るように心がけることで、「制限時間効果」が生まれます。本文で述べたような細切れ時間と同じように、時間が短いほうが集中力と記憶力が増すのです。ですから早めに寝るように心がけることで、帰宅後の勉強時間の質もアップするし、十分な睡眠もとれて記憶が整理されて一石二鳥になります。帰宅後に、ほとんど時間が取れない人は、日中の細切れ時間を有効活用するとともに、速読術をマスターして、帰宅後に、高速で受験参考書やテキストを読めるようになることが大切です。人の何倍ものスピードで吸収することができれば、たとえ1日30分でも1時間でも、引けはとらないはずです。

資格試験には日商簿記二級・三級や介護福祉士、社会福祉士、ケアマネージャー、調理師、ネイリスト、ファイナンシャルプランナー、ITパスポート、MOS、中小企業診断士、秘書検定、英検、各種国家資格など、いろいろな種類があります。どの試験にもいえるのは、教科書の読みだけでは、なかなか実力がつかない、ということです。勉強内容は大きく2つに分けられます。一つは移動時間などに勉強できる「読み」の部分。もう一つは、机の前でないと、なかなか難しい問題集や過去問の学習です。

過去問などを歩きながら解くことは困難です。また試験を受けているつもりで過去問を解くべきです。ということは試験会場と似ている、机の前に座るというシチュエーションのほうが、過去問を解くにはふさわしいわけです。ですから移動時の細切れ時間はテキストをひたすら読んでインプットし、家に帰ってからは、机の前に、しっかりと椅子にすわって問題集をひたすら解くという、2つのスタイルを組み合わせることが大事になります。このインプットとアウトプットは車の両輪です。

さらにいえば、本番の試験で緊張しすぎないために、模擬試験(模試)を経験しておくといいでしょう。いくら知識があっても、それを表に出して証明できなけば、試験には合格できなからです。つまり資格試験の学習においては、知識と度胸の2つが確実に向上しているかどうかを、つねに自分に問うことのほうが、”資格試験の勉強時間を気にする”ことよりも大切になるのです。